ショコラ

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「あ、今俺のことチャラいって思ったな。」





誰でも思うでしょ。
なんなのその色気は。
年下のくせにムカつくぐらい色気ダダ漏れなんだけど。

早くとっぱらってよ、その色気漂う空気を。





「とりあえず、お風呂は入りたいでしょ？
俺のスエット置いとくから、入って来なよ。」




なんとなく促されて、
私はお風呂場へ足を運ぶ。

洗面所には何故か袋に入ってある
新品の歯ブラシが大量にあるし、
見なかったことにするよ？私。

なんだかこの場所は落ち着かない。





·






「おぉ〜、可愛いじゃん。
ぶかぶかだけど。」





洗面所に置いてあったスエットは
北山くんの匂いだけで出来てあって、
着た瞬間包まれるように甘い香りがした。





「じゃあ俺も入ってくる。
ベッド貸すから先に寝てていいよ？」



「そしたら北山くんはどこで寝ちゃうの？
ソファーだったら風邪ひかない？」





すでに服を用意して
お風呂に入る気満々の彼は、





「大丈夫だから。」





すました顔をして
お風呂場へ消えてしまった。






·







「·········、」





落ち着かない。
ベッドまで北山くんの匂いだらけじゃん。
もうどうにかしてよ、この甘い香り。



何度寝返りをしても、
360度北山くんで北山くん。




痛いぐらいぎゅって目をつぶって
無理矢理にでも寝てしまおうとした時、




お風呂場からドアの開く音がして
思わず布団にくるまる。

なんだか早く寝なきゃいけない気がして、
何度集中しても足音はどんどんこちらへ近づくばかり。





「·········あれ、もう寝た？」




ついには、上から
私の様子を伺っている北山くんの声。




いきなり布団をまくりあげられて、
声にならないドキドキに襲われる。




・・・・・え？




後からは直接的に温もりを感じて、
しかも、それがダイレクトな北山くんの香り。





「·············きた、やまくんっ！」


「え、起きてたの？」




勢いよく起き上がれば、
目をまん丸にして、
布団の中にいる彼。



無意識なの？

それともバカなの？

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