ショコラ

＊ ページ3

·






「で、なんなの。早く言えって。
もしかして焦らすつもり？調子乗んなよ。」


「だって、先輩怒ってるもん！！
今言ったらまた何か言われそうじゃん！！」


「言え。」


「絶対怒らない？」


「怒る。」




・・・・ほら。

だから嫌なんだよ、先輩は。




普通こんな態度、彼女にとる？
例えば裕太のもう1個年上の
藤ヶ谷先輩だったら、




“ごめんね？よかったら教えて欲しいな。”




なんて後から優しく抱きしめて
耳元で吐息混じりにそう囁くんだよきっと。

それに対して先輩は優しさがないよね。
私、一回も優しくされたことないよ？
私だって、恋人みたいになりたいのに······





「言え。俺待つの嫌いだから。」


「·······じゃあ言うよ？」


「いいって言ってんだろ。」




さっきソファーに座らされた時も、
まるで犬のしつけをしているみたいに
おい、座れよ。なんて上から言われたし、

そこまで連れていかれたら
座ることぐらいわかるよっ！！

もう、色々と溜まりに溜まって、
今全てをぶちまけてしまいそう。






「・・・まず、私は先輩の飼い犬じゃない。」


「は？」


「私と宮田先輩のこと、
ペットみたいに扱ってるでしょ！？」


「なんで宮田が出てくんだよ。」




さんざん言えって煽ってきたくせに、
今ではものすごい不機嫌そうに私を睨んでる。




「・・・・・・しかも、
私のこと女として見てくれてくれてない。
もう付き合って半年も立つのに、
キスもしてくれな·········なんでもないです。」





もう嫌になってきた。
先輩と付き合うの疲れるよ。

愛情も計れないし
ましてやこんな扱いしんどすぎる。

私達、付き合ってる意味無くない？




キスして貰えないなんて
あの先輩に言ってしまったし、
これからまた散々からかわれるんだろうな。




なんだか先輩の横にいることすら
惨めになってきて、
だんだん視界がぼやけていく。
やばい、泣きそう。でも
一番泣いている姿を見せたくない人だし、



もうこのまま逃げちゃおうって、
背を向けようとした時、

ふいに腕を引かれて
柔らかい感触が口に当たる。









今までの先輩とは思えないほど、
ものすごく優しいキスで、
少し私は腰が引けてしまった。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す