こじれた愛の溶かし方。

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ゆっくりと顔を離すと、
目を丸くして私を見つめる宏光。

あぁ、好きだなって。
こんなのも何回目だろうね本当に。
懲りないなぁ。









「······好きだよ、ずっと好きだったよ。
宏光と会えなくなった時も、
宏光のことしか考えてなかった。
なのに、太輔の気持ちに気がつけなくて、
私は太輔にずっと宏光への気持ちをぶつけてた。
・・・・・一番の被害者は太輔だよ」






好きになるのは自由。
それでも、好きになれば条件反射として
失恋だってついてくる。

じゃあ好きじゃなくなればいい、
そういうことじゃないんだ。

簡単にやめられるほど
軽い気持ちで好きになったわけじゃないから。






でも、きっとそれは太輔も一緒で、
これだけの長い間、
どんな思いでここまで来たのかを
想像するだけで太輔の凄さが分かる。
太輔なりにもがいで傷ついて、
それでも私を優先してくれた太輔の優しさに
私は気づけなかった。




もっと、ちゃんと太輔のことを、




・・・ちゃんと、早く気づいていれば。









私が今まで太輔のことを縛っていたことに
今更気づいてももう遅い。

太輔の貴重な時間を私が奪ってしまった。








「だから、
簡単に付き合えばいいとか、
そんなこと言われたくなかったの·····、
私は本気で宏光のことが好きだからっ、」





いつまで経っても報われない感情に
だんだん胸も熱くなってきて、
瞼が熱くなれば涙を流すまでに
それほど時間はかからなかった。


勝手に告白して泣き出すとか、
宏光からしたらただのめんどくさい女なんだろうな。








「·····A、」


「聞いてくれてありがとう、ちょっと頭冷やしたい。
·····少しだけそっとしておいて？」







もう、幼馴染じゃなくなった。
じゃあ私たちの関係はなんだろう。
もう関係に名前も無くなっちゃったね。

これじゃあ、一緒にいられる理由がない。








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「Aはそれでいいのかよ、」







後から聞こえた、
大好きで大好きで堪らない声。

少し時間が経って振り返ると、
もうそこには影すらなくなっていた。

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