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ごく稀に ページ8

ー銀時サイドー


女は、逃げるように店を出ていった。
ぴしゃりと扉が閉まって少し、ーーババアが、
新しいタバコに火をつけた。

一気に匂いが店内をめぐる。





「ーーーで、あの子は一体何だい」

「知らね」

「知らないってあんたねェ」

「うるっせェなァ、本当に知らねーんだよ。
ただちっとばかし顔合わせたことあるってだけだ」




数日前、あいつの勤めているらしい相談室とやらに
迷い込んじまったことがあった。

いわゆるカウンセラー紛いの商売らしく、
人の悩みや愚痴を格安で聞いてやるんだとか。




「・・珍しいこともあるもんだね。
あんたが人助けなんざ」

「俺だって人助けくらいやりますー」

「まさか、惚れてんじゃないだろうね」


「・・・ハア?」



惚れてる?いや、待ってくれ。
第一、俺はあの女の名前すら知らないのだ。

まだ数えきれるくらいしか言葉を交わしていないし
どう頑張れば惚れられるのか。






「ったく、これだから老いぼれは。若ェ男女が
一緒にいたらすぐ発展させようとしやがる」

「じゃあ、あんたは何の下心もなしにあの子を
助けたってのかい」

「じゃあ、テメェは俺が下心なしに人助けすることがそんなに信じられねーのか」

「うん」
「ああ!?」




シタゴコロ?なんだそれは。





(ーーいや、まあ)



あいつが、少し気になった、というのは
正直な話だ。惚れた腫れたではないにせよ、
妙に惹きつけられた。今日、しかめっ面のあいつに
偶然再会した時も、思わず声をかけていた。

・・が、それは俺の感性だ。
よって、断じて下心じゃない。


絶世の美女ってわけでもねーのに、何がそんなに
気になるのやら、俺にもわからねェが、

理由などなくとも人を惹きつける奴ってのが
ごく稀にはいるもんだ。あの女はそれだろう。





「とにかく、間違いだけは起こすんじゃないよ」

「無駄な心配は老化を早めるぞ」
「とっとと出ていきな。こちとら開店前だよ」




店から出た俺は、冷気を含んだ風を身に受けながら
あのしかめっ面を、もう一度頭に浮かべていた。

不審者センサー→←落ち着かない



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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - 白桜姫さん» 更新が遅くなって申し訳ありません…!読んでくださり、ありがとうございます!時間を見つけてチマチマとですが、更新していきますので、よろしくお願い致します! (2019年1月20日 12時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 時雨さん» ありがとうございます!連続更新が難しい中、こうして足を運んでいただけて嬉しいです!最後まで、しっかりたどり着きたいと思います! (2019年1月20日 12時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - なっかさん» ありがとうございます!こんな亀更新にお付きあいいただき、感無量でございます…!やはり、頭撫で撫では女のツボですよね!! (2019年1月20日 12時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 久しぶりの更新嬉しかったです!次の再新も楽しみにしてます^ ^ (2018年12月29日 1時) (レス) id: a386c69c5e (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - シュシュ様の作品はどれもギャグ要素と恋愛要素の緩急が素晴らしくて読んでいて飽きません。無理なさらずにシュシュ様のペースで更新頑張ってください! (2018年10月31日 0時) (レス) id: a393c4fa96 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年9月23日 12時

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