【銀魂】うまく生きる為の方法

設立のお話 ページ20

その質問には、どこから答えたらいいんだろうか。


やろうと思って始めたことじゃない。
成り行きでぬるりと、やんわりとスタートしたのだ

その理由や裏側はたくさんあるけど、思い出したくも無いそれを説明するのは、気が引けた。



見上げた男の目が、まっすぐ私を見つめていて。
静かに、先を促している。ぐびっと数杯目となる
焼酎を飲み干した。一息つき、口を開く。







「ーーーストレスは溜まる」



たとえこの仕事じゃなくたって、
社会に出れば、小さな鬱憤は積み重なっていく。



「・・・他人から見たら小さなことでも、本人に
とっては重大な事だったりする」




趣味とか、うまくストレス発散できる人は大丈夫かもしれないけれど、ーー中には、ひたすら腹に
溜め込んで、最終的に爆発させてしまう人がいる。




「馬鹿らしい、気にすることない、・・そうやって
否定してほしいわけじゃなくて。君は頑張ってるよ
辛かったね、って、寄り添ってくれる存在って、
すごく安心するの」



自分の価値観じゃなくて、相談者の価値観に寄り添って話をする。相談者にとって重大なことなら、
同じように、私も重大なこととして考えるのだ。

人間って、結局は1人で生きていけないからね。



アルコールのせいか、次第にフワフワと気分が
浮かぶ。けれど口は、勝手に開くのだ。







「・・・・相手にされないことが、一番辛い」




押し込めないで。言いたいこと言って、楽になって
ほしい。窮屈な人生なんて、ただの悲劇だ。






「ーーーアハハ、我ながらサムイこと言った」

「・・そんなことねーよ」




ぼんやりする頭の隅で、

大きくて、あったかい手が、くしゃりと私の髪を
乱していくのを感じた。優しく気遣ってくれてる。




(ーーー頭、撫でてもらうなんて・・初めてかも)



こんなに心地よくて安心するものなんだ。





(・・ああ、そうだった)




窮屈に生きてる人たちを
こんな風に安心させたいと思って、始めたんだった






「私だって、今こうしてあんたに聞いてもらえて、
少し楽になってる、し」

「・・・そりゃよかったな」

「ずっと、こうやって、頑張ったねって、優しく、
頭撫でてほしかった、」


「・・・頑張ったな」


「うん、私、頑張ったんだよ」

「そうだな」


「・・私、要領悪くて。兄達に、追いつかなくて。
必死に、頑張ったけど、無理だった」


「・・・・そうか」



あれ、何を、話してるんだっけ

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