【銀魂】可もなく不可もなく

あながち正解 ページ32

面倒臭ェ、寒ィ、帰りてェとか何とか言いながらも、家の前まで送ってくれた銀さんを振り返る。

別に頼んでないですけどね、という言葉は飲み込む






「んじゃな」

「はい。また」




伸びをしながら踵を返したその人の後ろ姿が
小さくなるのを見送って、ふぅ、と一つ息をつく


ーー今日は、いろいろあった。

いや、正確には依頼を遂行してもらっただけなんだけど、・・沖田さんのせいで、考えなくていいこと
まで考え始めている。




(・・特別、なんて)



小さくなって行く後ろ姿に、少しの名残惜しさを
感じるのは、やはり一人暮らしの独り身女子の
特性なのだろう。銀さんが特別だなんて、そんな。


ありえないでしょ。

沖田さんが下世話にも私に言いたかったのは、
銀さんに対して、恋愛感情を抱いているのでは？と
いう詮索である。それくらいわかる。


でもそもそも私は、好きになるなら自分と同じく
平凡でごく普通の男性だろうと思っていたし、
銀さんのような非凡で固められたような変わり者に
恋をするなんて考えたことがない。ーーけど、






「・・だめだなぁ」



完全に否定しきれない。

現に、彼にどきっとしたことはあるし、
一緒にいて気楽だし。そんな人は、私にとっては
すごく貴重なのかもしれない。


ちゃらんぽらんで雲のように掴めない人だけど、
時折、不器用な優しさを見せる。世の中の女子は
ギャップにやられるというけれど、あながち間違ってはいないのかもしれない。






「ーーー・・っと、寒い」




ぼーっと玄関に突っ立っていたことに気付き、
一つ身震い。そそくさと家の中へ足を進めた。

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