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足元 ページ26

「ーーッ、・・ハァ〜〜」





自室に戻った私は、閉まった扉に背を預け
ズルズルと滑り落ちた。
まったく、血液で気分が悪くなるなんて、
新人のダメ医者じゃあるまいし。


あの様子だと、副団長やその他の団員たちに
私が血を苦手としていることは知られていない
ようだ。ひとまず安心だが、ーーあの悪趣味な
団長のことだ。どんな場面で弱味として出されるかわかったもんじゃない。






「ーーそれにしても、・・15分かぁ」



毎度のことだが、その早さには舌をまく。
これが、戦闘民族と呼ばれる夜兎の力なのだ。

本当に、私たちの種族に勝る奴らなんて
いないんじゃないか、と思ってしまうほどに。



力なく立ち上がり、ベッドに向かって
歩を進める。ゆらゆらと足元がおぼつかない。

ーーそんな私の前に、影が一つ。


静かに開いた扉の向こうから、廊下の蒸し暑さが伝わってきた。






「戦闘、お前も出たらよかったのに」


「・・もうそろそろキレますよ私」




その不法侵入者が、先ほどまで戦場で先頭に
立っていた戦闘狂だということは、その呑気な
声だけで十分把握できた。

小さく見上げれば、返り血はふきとられ、
服は着替えられ、ーー先ほどまで戦場にいた
形跡など、少しも残っていなくて。全部私の
夢だったのかと思わせるほど。




(ーーけど)



やはり、普段以上に強まった血の臭いは
ごまかせないらしい。







「気持ち悪くなった?」

「・・おかげさまで」

「背中でもさすってあげよーか?」
「近寄らないでもらえます?」




そこから入らないで、とちょうど側にあった
本棚を境界線に指定しておいた。今日ばかりは
私の顔が青白かったのか、彼はおとなしく
指示に従っているようだった。





「ホントに血が苦手なんだネ。夜兎の本能が
目覚めたらどうなるのかな?」

「・・・そりゃ、可能性はありますけど」



夜兎とは時に、"本能"が理性を超え、暴走を
始めることがあるのだとか。実際見たことが
ないのだけれど、夜兎の血を体内に流している以上は、誰にでもあり得ることなんだろう。





「お前が本能に任せて血まみれになる姿も
見てみたいケド」

「・・残念。本能呼び覚ますような現場には
いきませんから」



それより寝かせてくれませんか、と頭を抱えれば、立ち止まっていた足音が、再び聞こえだし
ベッドに腰掛けた私の前で止まった。

もはや怒鳴る元気すらない私のうつむいた視線に彼の足だけが映っていて。

害悪退散→←15分



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設定タグ:銀魂 , 神威 , 第七師団   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - ミリアさん» ありがとうございます!リクエスト、大変ありがたいのですが、申しわけありません…コラボ作品は専門外なのです…。ご期待にお応えできず申しわけありません…よろしければ銀魂作品、楽しんでいただけると嬉しいです (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - fuさん» いつもありがとうございます!ここから盛り上げていけるよう頑張ります! (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 戦胡蝶さん» ありがとうございます!きっとデレンデレンになってくれる…はずです!頑張ります!気長にお付き合いいただけると嬉しいです! (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 夜神さん» あわわ…!本当ですか!ありがとうございます!心配していましたが、ご期待に応えられていれば嬉しいですっ!ぜひ養ってください!笑 (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!夢主ちゃんのドライな部分、うまく溶かしていきたいですね!足を運んでいただき、ありがとうございます! (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年8月16日 12時

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