【銀魂】衝突必須の求愛物語

気にくわない ページ11

「・・・近寄らないでと何度いえばわかるんですか。今回ばかりは許しませんよ」




これまでになく距離が近い。
吐息すら感じそうなそこで交差する視線。
負けじと睨み続け、数秒の時が流れたとき、

ーーー団長は、目を細めた。






「今日は、逃がさないヨ」

「・・・はぁ？」



言葉の意図がわらない。私はこいつからいつ
逃げただろうか。そりゃあ腰抜けの多いこの師団では、こいつを見て逃げる輩もいるだろうが
私は断じて違う。断じて。





「いろいろ聞きたいことがあるンだ」

「答えませんから」

「でも・・この状況で、お前にそんな権限が
あるとでも？」


「・・・・・このクズうさ、」
「質問への答えだけ喋ってくれたらいいから」




悪態をつこうとした私の唇に、そっと人差し指が添えられた。思わず押し黙ってしまう。

この、こいつの持つ圧倒的な強制力みたいな
ものも、心底気にくわない。






「まず、ーーーAが俺を嫌う理由」


「・・・そんなもん聞いてどうするんですか」

「どうもしない」


「ちょっと何がしたいとかわかんないです」




ーーそういえば副団長に白状したばっかりだな

こいつを嫌いな理由、なんてただ一つ。






「あなたが、夜兎だからですよ」




戦場を駆け回り、不敵に笑いながらいきものを
狩るなんて、まるで知能のない獣じゃないか。

特にこいつなんて、いつでもどこでも血に飢えたような顔で好敵手を探してる。





「どーして夜兎が嫌いなの？」

「・・・ハァ、」



大きな青い瞳に、私が映る。
幼さの残る中性的なそいつは、とても一つの
師団を率いる長のそれには見えない。


ーーけれど、その顔に似合わず、今私を容易に
押さえこめるだけの力をもっていることは
確かで。・・これは多分、答えなきゃ解放する気はないんだろう。

観念のため息を吐き出した私は、もう一度
そいつに向かい合った。









「私、ーー血の臭いが嫌いなんです」






こちらの答えに満足げな表情を見せた団長は
次に、「そんなに臭う？」と。





「えぇ、とても。あなたは特に鉄臭い」

「ずいぶん鼻がいいんだネ」
「レバーの臭いの方がずっとマシです」




単純に、あのツンと来る刺激的なところとか
ちょっと生臭く感じるところとか、そういうの
全部ひっくるめて、私は血がダメなのだ。








「ーーーもういいです、・・よ、ね！」



何やら考え込んでいるらしき今がチャンスと
ばかりに、私はそいつの頬に拳をぶち込んだ。

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