【銀魂】一品ものにつき

気持ち ページ41

トシの部屋に遠慮がちに腰を下ろす。

話すとは言ったけれど、どこをどう
話していいのやら。




たまらず俯いていれば、少し柔らかい声が
聞こえてきた。







「・・・言いたくねーならそれで
かまわねェっつったろ」




気遣うような言葉に、首を横にふる。

その人の優しさが体にしみて、
思わず胡坐をかくトシの胸にとびこんだ。



少し落ち着いて息をつくと、
大きな手が頭を撫でてくれる。







．









「ーーー私ね、」



やっとのことで、口を開く。

トシは相槌をいれることなく、黙って耳を
傾けてくれていた。






「・・トシに助けられて、こうして何の問題
もなく元気に育っていけたことには、本当に
感謝してる。でもあるいっときから、トシの
ことを恩人だってだけで見られなくなった」




いつのまにか、目でおっていて
・・いつのまにか、胸が苦しかった。





「惚れてる、ってのには不思議とすぐ気づいた
けど、・・それと同時に怖くなったの」




優しいミツバさん。並んだ二人を見て、
自然と頬を緩めてしまう自分





「ーーーー・・・自信が、なかった」





もともと自分は途中から迷い込んだような身だ
気持ちを堪えるしかなかった。

苦肉の策として、幼いままの私でいることで、
トシの隣に居続けようとしていた。








「・・・この前の非番に、ミツバさんの墓参り
にいってきたの」



「・・そういや出かけてたなお前」

「うん。そこでばったり沖田に会って」




あの時、不意にでてしまった本音は
沖田の耳にしっかり届いていたのだ。







「ーーー"どうすればミツバさんみたいになれるの？"」




墓の前で問いかけた言葉を口にすれば
トシの体がピクリと反応した。





「・・・沖田に、その発言聞かれちゃって」




へへ、と一度笑う。






「"お前が姉上になろうなんざ口に出すだけで
最早犯罪だ"って言われちゃった」




ひどいよねー、なんて。







「でも、珍しくフォローもしてくれたんだよ。
"テメェはテメェだろ"って」





ミツバさんになれなくてもいい。
ーーー自分のままでいい。






「だから、がっつり系女子になれたんだよ。
それに関して、沖田の助言のおかげってわけ」




女の子から告白って、最近じゃ減ってるって
聞くし。






話し終えると、意外とすっきりした気持ちに
なれて、大きく深呼吸をした。

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