オタク彼氏の彼女は辛い

付け足し ページ15

少しだけ自分の意見を言ってからも、英はいつも通り。



言葉の意味が伝わっていたのかいないのか、今日も今日とてレイジ様について語っている。





｢アニ〇イト行きたい。｣



『おっと。』





会話が途切れたところに唐突に突っ込んできた。





｢A気乗りしないかもだけど、俺行くならAとって決めてるから。｣





なんちゅー誘い方だよ。


まぁ嬉しいことには変わりはないんだけれど。





『良いけど…今まで行ったことないの？』



｢や、金田一を無理やり連れてってた。｣





絶対面倒そうな顔するから嫌なんだ、とため息をつきながら話す英。





『え、まって、私なら絶対着いてきてくれるとか思ってる？』



｢うん。｣





いや、うん。って。


何が好きで彼の推しのために私が着いて行かなきゃならないのだ。


確かに断ることは絶対無いわけだが。





『…土曜の部活後行こっか。時間空いてる？』



｢！…いいの？サンキュ。｣





こんな笑顔で言われたら、行くしかないじゃん。


こういう姿をいちばん近くで見られるのも彼女の特権なのだから、活用しなきゃ勿体ないもの。





｢…あ。言っとくけど。｣





英は一通り話し終えた後で改めて説明を付け足すことが多い。


誤解をうみやすいタイプだと自覚しているみたいだ。



例えば、このように。





｢Aがガチャ運良いからとか、それだけのために着いてきて欲しいわけじゃないから。｣





最初は意味がわからなくて

どういうこと？と聞こうとすると、英からその意味を伝えてくれた。





｢俺はAと一緒に居たいって気持ちもちゃんとあるってこと。｣





まってよ、いきなりそんなこと言わないでよ。





『……///。』





私を真っ直ぐ見ながら言わないで。





『照れるから、やめて…。』





望みの薄い期待がこんないきなり実現するなんて思ってなかったのだから。




こっちを見てニヤリと笑う彼が愛おしくて、


触れたくて仕方がなかった日でした。

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