私の彼氏は「オネエ」時々「オトコノコ」です

オネエ ９話 ページ11

緋色side





“ひーちゃん！”

“ひいろ！”

“ひ〜くん”


「またね」





待って…置いていかないで…





俺たち、ずっと一緒にいるって約束したじゃん…





やっぱり“未来”なんて保証できない。





自分で自分の道を切り開くしかないんだ。





――――――――――――――――――





ﾁｭﾝﾁｭﾝ…





鳥の声。朝が来たんだ。





またこの夢か…





小6のとき、真緒と凛月に「またね」と告げられた。





理由はアイドルになる。だった。





幼い頃に交わしたずっと一緒にいようという約束はあっけなく破られた。





そしてタイミング悪く、俺の転校が決まった。





俺の家族は転勤族で、しょっちゅう引っ越す。





人にはその土地に住んでいる土の人、どこかからやって来た風の人がいる。

俺は風の人、ここにいた時間が長かっただけ、そう考えれば今までのことはただの暇つぶしに過ぎないと考えることができた。





追い打ちをかけるように好きだったAにも「またね」と言われ、「さよなら」よりも辛い言葉となり、今も夢に出てくるようになってしまった。





ある日Aがプロデュース科に所属していることを知って必死にお金を貯め、ダンスも歌も全てを完璧にして、夢ノ咲転入に成功。





こうしてまた3人に会えることができた。





喜べるはずの再会。





だが俺は3人の中の絆にもう入り込むことはできない。





だからこの学園で革命を起こし、Tricksterよりも新しい風を吹かす。





風の人の底力見せてやるよ。

オネエ １０話→←オネエ ８話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す