好き好き症候群【Knights】 (ページ7)

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6 後輩たちページ7

遊木真side

朝、HR前の15分。僕達が密かに楽しみにしていることがある。

「やほやほ、皆元気かなー」

のんびりと間延びした喋り方に、少し着崩した制服。身長は低くて、ふわふわの髪は小動物を連想させる。3年の早瀬A先輩だ。

「ハーちゃん先輩おっはよー！」

「スバルん元気だねぇ、すきだよぉ」

1番に反応したのは明星くん。A先輩にすきと言われて、満更でもなさそうに笑っている。先輩は、週に何度かこうして僕達の教室にふらふらとやって来てはお菓子をくれて、大体泉さんに回収されていく。最初はただたた驚いていたけど、今となっては見慣れた光景だ。

「姉さん、今日は何をくれるノ？」

「今日はフィナンシェだよォ。逆ちゃん食べる？」

「姉さんの手作り？」

「んふふ、良く分かったねぇ」

よしよし、と逆先くんの頭を撫でる先輩。逆先くんは、A先輩のことを姉さんと呼び、慕っている。彼のように、A先輩を慕っている人は多い。きっと、彼女がどんな人でも受け入れてくれるからだと思う。どんなに汚いところを見せても、"人それぞれだからねぇ。気にしなくていいよ"と笑うのだ。僕自身も、そんな先輩に救われている。

「ッ、こんなトコに居たぁ！」

「あ、セッちゃん」

ガラリと派手な音を立てて教室に入ってきたのは泉さん。条件反射で氷鷹くんの後ろに隠れたのは悪くないと思う。

「ちょっと、なんでまたここに居るわけぇ！？チョーうざぁいんだけどぉ！」

「あ、待ってセッちゃん、お菓子配ってから……」

「駄目！後輩を餌付けしない！！」

「あぁー……」

首根っこを掴まれて猫のようにずるずると連れて行かれる先輩。今日は、泉さん来るの早かったなぁ。

「僕も、先輩と話したかったな……なんて」

この一人言を氷鷹くんや明星くんに聞かれて、散々からかわれたのは言うまでもない。