検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:42,025 hit

4,5秒の取り引き。 ページ5






「すみません、1つ良いですか」




 施設内に入ってから、周りにはあまり聞こえぬ声でいった。死ぬ覚悟はできている。


 『出来る時にやる』昔読んだ本にはそう書いていた。




「ボスとの取り引きが終わったら話があります」


「断る」


「取り引きの後お時間ありますか?」


「無い」


「貴方の弟子にしていただきたい」


「…は」




 流石に拍子抜けしたようだ。私を凝視しては睨み付ける。




「詳しい話が聞きたいのならまずはクソジジィ………………。ボスとの取り引きを終えて下さい」


「ハッキリ聞こえたからな」




 その人のその言葉を最後に、私はボスの部屋の扉を開けた。




「待っておりまし」


「約束の書類はこれだな。…失礼する」




 ボスの言葉を遮って机の上の書類を取ると部屋を出ていく。5秒程で終わった取り引き…いや、一方的な情報入手に私は唖然した。


 さらに彼の人のことを知りたくなる。そんな衝動を抑えて私は一礼すると、ボスの部屋を出ていき護衛に戻ろうとした。



が、




「なんだ、早く終わらせてやったのだ。早く真意を話せ」




と、あの殺人鬼に腕を捕まれ裏庭へ一緒に出たではないか。予想もしていなかった展開に「へあっ!?」と訳のわからぬ声を出してしまった。




「それで、___弟子になりたい、だと?」


「左様。昨日の夜裏路地で貴方を見ました。強くなりたいと思うので貴方に着いて行きたいのです」




 今このチャンスを逃したら、私は一生檻の中の犬だ。師を得たいのだ。




「…………………ポートマフィアにとっては取るに足らぬ存在だ、貴様は」




 ぴしゃりと言い捨てられた言葉に心臓の音が大きくなる。しかしここで引き下がってはいけないと、この様な状況では前に進めと教えられた。




「だから貴方の弟子になりたいのです。部下ではなく弟子になりたいのです」




 そういえばまだ名乗っていなかった。ならばこの際に名乗って仕舞おう。




「やつがれは、」
「僕は」

「芥川龍之…」
「ヨハン・ヴォル…」




 突如重なった声に固まる。そして、一人称が同じな様な気がした。




5,弱み。→←3,紅潮。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
80人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なかゞわとまと - ぱるさん» お久しぶりです!ぱ、ぱる師匠が謝ることなんてありません。わたくしも更新おサボりしてるので…(汗) (2017年2月18日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - ミカさん» ありがとうございます…!もう頭があがりません…。新作、掛け持ちになりそうですが頑張ります!^^ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - 完結おめでとうです。ていうかお久しぶりです。更新おサボりですみません;;そしてこんなところで謝罪をすることもごめんなさいです (2017年2月17日 22時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 小学生…だったんですか!?私高校生なのですが…凄くこの作品面白くてすっかり読み込んでいたらまさかの…年下だったとは。凄いです。小学でここまでかけるなんて羨ましい…新作、楽しみにしています。 (2017年2月17日 22時) (レス) id: 17d57460f1 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - 椿(狐)さん» いっ、いえ!ボクがお世話されてますよ!? (2017年1月26日 18時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なかゞわとまと | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年1月7日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。