4,5秒の取り引き。 ページ5
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「すみません、1つ良いですか」
施設内に入ってから、周りにはあまり聞こえぬ声でいった。死ぬ覚悟はできている。
『出来る時にやる』昔読んだ本にはそう書いていた。
「ボスとの取り引きが終わったら話があります」
「断る」
「取り引きの後お時間ありますか?」
「無い」
「貴方の弟子にしていただきたい」
「…は」
流石に拍子抜けしたようだ。私を凝視しては睨み付ける。
「詳しい話が聞きたいのならまずはクソジジィ………………。ボスとの取り引きを終えて下さい」
「ハッキリ聞こえたからな」
その人のその言葉を最後に、私はボスの部屋の扉を開けた。
「待っておりまし」
「約束の書類はこれだな。…失礼する」
ボスの言葉を遮って机の上の書類を取ると部屋を出ていく。5秒程で終わった取り引き…いや、一方的な情報入手に私は唖然した。
さらに彼の人のことを知りたくなる。そんな衝動を抑えて私は一礼すると、ボスの部屋を出ていき護衛に戻ろうとした。
が、
「なんだ、早く終わらせてやったのだ。早く真意を話せ」
と、あの殺人鬼に腕を捕まれ裏庭へ一緒に出たではないか。予想もしていなかった展開に「へあっ!?」と訳のわからぬ声を出してしまった。
「それで、___弟子になりたい、だと?」
「左様。昨日の夜裏路地で貴方を見ました。強くなりたいと思うので貴方に着いて行きたいのです」
今このチャンスを逃したら、私は一生檻の中の犬だ。師を得たいのだ。
「…………………ポートマフィアにとっては取るに足らぬ存在だ、貴様は」
ぴしゃりと言い捨てられた言葉に心臓の音が大きくなる。しかしここで引き下がってはいけないと、この様な状況では前に進めと教えられた。
「だから貴方の弟子になりたいのです。部下ではなく弟子になりたいのです」
そういえばまだ名乗っていなかった。ならばこの際に名乗って仕舞おう。
「やつがれは、」
「僕は」
「芥川龍之…」
「ヨハン・ヴォル…」
突如重なった声に固まる。そして、一人称が同じな様な気がした。
*
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なかゞわとまと - ぱるさん» お久しぶりです!ぱ、ぱる師匠が謝ることなんてありません。わたくしも更新おサボりしてるので…(汗) (2017年2月18日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - ミカさん» ありがとうございます…!もう頭があがりません…。新作、掛け持ちになりそうですが頑張ります!^^ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - 完結おめでとうです。ていうかお久しぶりです。更新おサボりですみません;;そしてこんなところで謝罪をすることもごめんなさいです (2017年2月17日 22時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 小学生…だったんですか!?私高校生なのですが…凄くこの作品面白くてすっかり読み込んでいたらまさかの…年下だったとは。凄いです。小学でここまでかけるなんて羨ましい…新作、楽しみにしています。 (2017年2月17日 22時) (レス) id: 17d57460f1 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - 椿(狐)さん» いっ、いえ!ボクがお世話されてますよ!? (2017年1月26日 18時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)
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