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21,意外。 ページ22





「おや、芥川君かい?呼んだ覚えはないが…まぁ入りなさい」






 扉越しに首領の声。私は聞こえないように生唾を飲み込み、師匠に視線をやった。


 師匠も師匠で緊張している、のだろう。しかし河童は大きな瞳をキョロキョロとさせて師匠の腕の中で大人しくしていた。






「失礼しますっ…」





 師匠が扉を開けて、そのあとに私も付いていく。中々の緊張感だ。






「……………ん?」






 そして首領は笑顔少しばかりひきつらせて此方を見た。やはり河童は駄目だろうか…。






「首領…この、河童を飼いたいのですが」



「待って河童って本当にいたんだね!?」






 予想とは違う所に驚く首領。もしや河童の存在を信じていなかったのか?いやいや、犬猫が普通にいるように河童もいるんですよ、もっと。






「う、うん。飼っても良いけど…ご飯とかは…」



「胡瓜と鶏肉。世話をする場所は僕の風呂場にします」



「それ太宰君が居たときに使った『お風呂を入りたくない言い訳その壱』だね」



「…失礼しました、首領」



「え?えっ…ダザイ君?あの…首領、やつがれが一番始めに河童を拾いました…。その時手伝ってくれたのはダザイさんでしたが…。」






 一瞬にして空気が凍り付く。また地雷だったかと思えば首領が師匠に哀れむ笑みを見せる。






「御免ねェ…。A君、君は悪くないよ。芥川君、もう下がりなさい」







 そして今度こそはと言わんばかりに首領の部屋を出ていった。河童は黙って抱かれたまんま。


 私も付いていこうとしたが、ここは空気を読んで少し後から付いていくことにした。





「流石A君だ。空気を読める人は嫌いでないよ」






 ありがとうございますとお礼を言うも、そもそも『ダザイ』というキーワードに何かあるのだろうか。理解の追い付かぬ私に首領は壱から…否、直球に言った。





「太宰君はね、芥川君の師匠だよ。簡単に言えば」



「……………………………………えぇええっ!?」




 後ろにいたエリスさんが大声に気付きひょっこりと顔を出した。



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なかゞわとまと - ぱるさん» お久しぶりです!ぱ、ぱる師匠が謝ることなんてありません。わたくしも更新おサボりしてるので…(汗) (2017年2月18日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - ミカさん» ありがとうございます…!もう頭があがりません…。新作、掛け持ちになりそうですが頑張ります!^^ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - 完結おめでとうです。ていうかお久しぶりです。更新おサボりですみません;;そしてこんなところで謝罪をすることもごめんなさいです (2017年2月17日 22時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 小学生…だったんですか!?私高校生なのですが…凄くこの作品面白くてすっかり読み込んでいたらまさかの…年下だったとは。凄いです。小学でここまでかけるなんて羨ましい…新作、楽しみにしています。 (2017年2月17日 22時) (レス) id: 17d57460f1 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - 椿(狐)さん» いっ、いえ!ボクがお世話されてますよ!? (2017年1月26日 18時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なかゞわとまと | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年1月7日 23時

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