19,ダザイ。 ページ20
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「やつがれを知ってるなら…えぇと…」
「そう、うん。あぁあの時の…。ほらほら私だよ。お宅の先代の首領を殺した私」
ああ、思い出した。私が入って間もなく首領が殺され、今の首領になったというのを。まあ前の首領は殺されて当然なほどのことをしていたけど。
「名前までは存じ上げませんでした」
「いやいや、でも私はもう黒社会から足を洗ったからねぇ」
「あ、はい…。それでやつがれ…その…河童を…」
気恥ずかしそうに視線を下に向けて言った。スカートのレースが目に入る。
「良いですよ美しい人…。貴方がご所望ならば喜んでお受け致します」
「心中は…でも…その…やつがれには師匠がいて、その人を尊敬しているので…」
苦笑しながら言うとこれは残念だと肩を竦めてダザイさんは言った。
「なら仕方ない。河童探しをしよう」
そしてあろうことか数分後、河童はあっさり見つかって私の胸に飛び込んで来たのだ。
随分と人懐っこいのか?と思えば違い、ダザイさんには逃げてばかりだった。ダザイさんが掴まえたのに。
「ありがとうございますダザイさん」
「君のペットなのかい?」
「いえ、飼いたくなりましたので…」
そう言えば声も出さずに腹を抱えるダザイさん。具合を悪くしたのか?と思えば「いっ、いやっ、違うっ…」と言われた。
時刻は遅く、私は帰ろうとしたのだが…
「ダザイさん今回はありがとうございました。河童…飼えたら飼います」
「うんっ、た、大切にっねぇ…!」
笑う寸前の表情を浮かべるダザイさん。不思議に思ったがその場を後にした。
***
いやぁ参った。あの一人称と口調、そして河童に魅力を感じるあの子。
思わず笑って仕舞う。「飼いたくなりました」なんて、あの時のあの子と全く同じことを…。
私はすくりと立ち上がり、
「いやァ今日も死ねなかった!」
と言って帰って行った。
***
2、3日に一回のペースで更新します。
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なかゞわとまと - ぱるさん» お久しぶりです!ぱ、ぱる師匠が謝ることなんてありません。わたくしも更新おサボりしてるので…(汗) (2017年2月18日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - ミカさん» ありがとうございます…!もう頭があがりません…。新作、掛け持ちになりそうですが頑張ります!^^ (2017年2月18日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - 完結おめでとうです。ていうかお久しぶりです。更新おサボりですみません;;そしてこんなところで謝罪をすることもごめんなさいです (2017年2月17日 22時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 小学生…だったんですか!?私高校生なのですが…凄くこの作品面白くてすっかり読み込んでいたらまさかの…年下だったとは。凄いです。小学でここまでかけるなんて羨ましい…新作、楽しみにしています。 (2017年2月17日 22時) (レス) id: 17d57460f1 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - 椿(狐)さん» いっ、いえ!ボクがお世話されてますよ!? (2017年1月26日 18時) (レス) id: 16e2777840 (このIDを非表示/違反報告)
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