黒外套の弟子になりたくて志願したらいろんな騒動に巻き込まれた。【芥川龍之介】

１，一人称。 ページ2

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　私はヨハン・ヴォルフガング・フォン・A。大層立派な名前だが中身は意外とがさつで大雑把だ。




「今回もよくやったな。これは今月の報酬だ」




　我々軍隊の気難しいボスは生憎私を気に入ってるから部屋の前の護衛をやらせている。


　突然だが、私が昔読んだ本に「やつがれ」という一人称の奴がいた。やつがれというのは自分を控えめに言って相手を敬う意味があるらしい。

　軍隊の心得として自分を低くすることが大切だと思っている私は以来、この一人称を使っている。




「ありがとうございます。ボス」


「あぁそれで。3日後、ここにポートマフィアが来る。知っての通り我々はポートマフィアの傘下だ」


「存じております。お言葉ですが、取り引きのことでしたら問題は無いかと。ボスが一から努力を惜しまずに情報収集しているのを畏れながら先日見ましたので」




　つらつらと喋る。こんな言葉も、全ておばあちゃんがくれた本の中にあった言葉が殆どだ。




「ほう！流石はA！出来の悪い日本人とはやはり違う！」




　＿＿出来の悪い日本人そは違う。これはボスが私によく言っている。日本人は出来が悪いというならお前は日本人以下だろうに。




「それでは失礼しました。やつがれは再び部屋の前の護衛をしております」


「よろしく頼む」




　機嫌の良くなったボスの部屋からかつかつと靴を鳴らしながら出る。こんなクソったれなボスは正直嫌いだが、強くあるためには必要なこと。



　昔読んだ本に「弱さを知っているから強さを知っている」と書かれてあった。私は弱さを知っている。己の親を守れなかった弱さを。



　あ、話が少し反れた。ちなみにボスの部屋直行のこの廊下は滅多に人が通らない。本当に私くらいだ。


　そんな私は暇をもて余すから、いつもこうやって自身の髪の毛で遊んでいるのだ。




＊＊＊


　夢主ちゃんの一人称は「私(わたし)」と「やつがれ」です。芥川さんと区別つかないと困るので平仮名表記にしております。

２，訓練後の訓練。→←プロローグ『おばあちゃんと髪の毛と軍服』

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