11 ページ11
.
『すばるくん、お風呂入ってきてー』
渋谷「ん。」
あの後、少しだけ刑事さんと話をして無事に帰された私たち。
寝っ転がっていたすばるくんに声をかければ のそのそと脱衣場へと向かっていった。
すばるくんが入浴してる間に夕飯を作ろうと買ってきた卵を袋から取り出す。
料理をしている最中も 考えるのはさっきの事で。
警察官と話すことなんて滅多に無いから、無理もないか なんて思う。
奥の方からシャワーの音が聞こえて 思わず頬が緩んだ。
『よしっ、完成。』
オムライスにケチャップで「すばる」と描いて、その隣にこれまたケチャップの猫。
我ながら乙女な事したな、なんて感心して 出来た料理をテーブルに並べる。
…あ、そうだ サラダも作ろう。
何となく寂しい料理だったから そう思い立ち、リビングへと駆け出す。
『わっ…！』ﾊﾞｻｯ
何かにつまづいて、慌てて下を見る。
つまづいた物は すばるくんの鞄で。ひっくり返って眼鏡や腕時計が飛び出してしまっていた。
あちゃー、やらかした。
彼が戻る前にしまおう、と落ちた物を拾う。
壊れて無いか確認して、鞄を広げた。
『……え、』
なんで
( __犯人と思われる人物は、)
いつか見たニュースキャスターの声がこだまする。
鞄の中に入っていたのは、
__赤いレインコートだった
『なん、で…』
ゆっくりと、刑事さんの言葉が再生される。
( __この間の日曜、隣町で… )
その日は、すばるくんが「用がある」と家を出た日。
否、その前から 彼はよく何処かへ出かけていた。
決まってその数時間後に 通り魔のニュースが放送されて…だけど、まさか。
たまたま、偶然、赤いレインコートを持っていただけでしょう。
だって彼に限ってそんなこと、と思う半面、
だったら何故、彼は刑事さんに「心当たりがない」などと言ったのだろう という気持ちが浮き出る。
湿ったレインコートを持つ手が震えて、頭が真っ白になった。
.
.
渋谷「__A」
『ッ！！』
突然聞こえた声にバッと振り返るも、そこには誰も居なくて。
脱衣場から声をかけられたことに気づく。
バクバクと鳴る心臓を抑えて、レインコートを鞄の中に押し込んだ。
『…な、なにっ？』
渋谷「タオルあらへん。」
『い、今持ってく！』
裏返る声を、彼はどう思ったかな。
ねえ、すばるくん
貴方は一体、誰ですか
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1033人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なっか(プロフ) - ぁぃ岡ちゃんさん» お返事遅くなってごめんなさいorz 村上くんは登場させた時からヤンデレ落ちにしようと心に決めてたので そう言って貰えて嬉しいです！多分この小説の中でマトモなのは横山くんだけです(笑) 新作の方もちまちまと更新するのでこれからもよろしくお願いします＼(^o^)／ (2018年11月29日 7時) (
レス) id: c94037b149 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃ岡ちゃん(プロフ) - 変なタイミングでコメント失礼します。実はこの作品3回以上は読むほど大好きで...！ ヨコもひなちゃんもいいキャラだし、何より殺人鬼とは思えないこのすばるくん！！！もう会えないとかとても悲しいですが、幸せな気持ちにもなって、、！新作の更新も楽しみです！ (2018年11月24日 13時) (レス) id: b0cf436bba (このIDを非表示/違反報告)
のこ - にゅいさん» ほんとそれ。 (2018年6月6日 1時) (レス) id: d930366955 (このIDを非表示/違反報告)
なっか(プロフ) - ∞みきりんご∞さん» お返事が遅くなってごめんなさい(＞＜)はい！フォロバさせていただきました、ありがとうございます！ (2018年2月26日 21時) (レス) id: c94037b149 (このIDを非表示/違反報告)
∞みきりんご∞(プロフ) - なっかさん、青鳥フォローしました！どさくさに紛れて、みたいな感じですが… りゅーかってやつです。 (2018年2月26日 19時) (レス) id: 4856ac329b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なっか
| 作成日時：2017年12月19日 12時
