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一夜明け。
麟児は憂鬱な気持ちになりながら、ボーダー本部を歩いていく。
今はまだ大丈夫なのだが、内容が内容なだけ昨日から憂鬱な麟児だ。
「あら?麟児くん?」
後から声がして麟児は足を止めた。このまま無視しても良いがそうすると後が怖いため、諦めて後ろを向いた時、麟児は後ろを向いた事を心の底から後悔した。
「麟児くん、おはよう」
「ああ、おはよう加古。………お前もな」
「………」
「ねぇ、朝から一触即発の雰囲気にならないでくれる?」
麟児は目の前にいる二宮を睨む。対する二宮も嫌な顔をしながら麟児を睨んでいるのだから、傍から見れば今にも戦いを始めそうだ。放っておくと何時までも喧嘩している二人の間に加古が入る。
「それはそうと麟児くん」
「?」
「私も東隊に入る事になったのよ」
そう言って加古は、誇らしげな顔をする。
「"も"って事は…」
「ええそうよ。二宮くんも」
麟児は二宮を見る
……二宮は東さんに薫陶されたらしい。いや、にしても早くないか。昨日秀次が東隊に入る事になったのは見届けたが、その後林藤さんの所に行ったからどうなったのか分からないのだ。
「そういえば、三輪くんの後の事何があったか知ってる?」
「いや、あの後用事があってな。秀次が東隊に入った事までしかわからないんだ。二人共何で東隊に入ったんだ?」
「あら、言ってなかったわね。実は…」
加古の話をまとめると、
秀次と麟児との戦いを見ていた東さんと、加古と二宮。最初の東隊入隊者は秀次。戦いを見ていた加古は、その場で入隊を決めたという。そして二宮は麟児が居なくなった後東さんと戦い、見事に薫陶され入隊が決定したという。
二宮薫陶が見られなかったのは一生の不覚。笑ってやろうと思ったのに…
「おい。今変な事思っただろ」
「なんの事だ?」
「しらばっくれるな。」
麟児を睨む二宮。対する麟児も二宮を見返す。ここで重要なのは、二宮は睨んでいるが麟児はただ二宮を見ているだけという所。
「別に変な事は思ってない。ただ……お前が東さんにやられる所を見られなかったのが残念だなと思っただけだよ」
「はぁ?」
さらに眼光が鋭くなる二宮。麟児は二宮に触発されたのか二宮を睨む。
「ねぇ、ここで喧嘩しないでくれる?私も怒られるのよ。やるならランク戦室でして?まぁ、私もするけど。」
「……、そうだな」
「………」
二人は剣呑な目をしながら一人笑いながら、ランク戦室へと向かった。
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しゅり(プロフ) - 更新ありがとうございます!心待ちにしていました! (4月2日 23時) (レス) id: de8642ea8a (このIDを非表示/違反報告)
エマ(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました!続きが気になるので作者様のペースで更新頑張って下さい!応援しています! (2月6日 9時) (レス) id: f652d6533b (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - すごく面白くて続きが楽しみで楽しみで…応援してます!更新頑張ってください! (11月12日 2時) (レス) id: d3fb5e7475 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ユキ - すごく面白かったです(((o(*゚▽゚*)o))) ずっと待っているので更新頑張ってください!! 応援しています!(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2022年12月10日 22時) (レス) @page11 id: ef5ec06190 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 続きが楽しみです!更新、頑張ってください!応援しています (2022年11月12日 19時) (レス) @page11 id: b758d3b9e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2021年6月13日 9時