トリオン怪獣の兄に成り代わったんだが３

101 ページ4

原作の情報も鑑みてみると、城戸司令官と忍田さんは本部、林藤さんは玉狛支部に拠点を置いている。そして、原作を思い出してもいつ玉狛支部ができたのかは分からない。しかし、今上層部が水面下で争っているのならいずれそれが隊員達にまで広がって、派閥に分かれるのだろう。
で、林藤さんは隊員達のほとんどが城戸司令官や忍田さんに分かれる事は分かっている。ボーダーにいる隊員達のほとんどは近界民に恨みを持っているのだから当然だ。とはいっても中には近界民に特に恨みはないがボーダーにいる隊員もいる。例で言うと加古や二宮、嵐山に柿崎だろうか。
しかし、その人達が玉狛支部に来てくれるわけではない。

玉狛支部の考え方＝ボーダーの裏切り、という構図が出来てしまうのだ。恨みの無い隊員は誰かに誘われて城戸司令官に行くか、街第一主義の忍田さんに行くかのどちらかだ。
しかし、人が集まらなければ玉狛支部は立ち行かない。その為、林藤さんは玉狛支部と似たような思想を持つ者達をこちらに引き込もうとしているのだろう。


「……何で分かれたんですか？」

「ん？それは派閥がって事か？」

「はい」


これは麟児の純粋な疑問だった。
何で派閥が出来たのか。それについては麟児も今の状況と原作というチートのおかげで想像がつく。分かっているのだが、これについては想像より実際に聞いた方が確実だ。

多分麟児が考えてるのと同じだぞ？という前置きをした後、林藤さんは言った。


「俺は城戸さんとボーダーができる前から一緒ってのは知ってるだろ？前までは城戸さんも俺らとおんなじ考え方だったんだよ。でもな、まぁ…簡単に言うと近界民が無差別に人を殺したりトリオンを無理矢理抜き去ったのを見てるとな、だんだん近界民を憎むようになったんだ。そういう訳で、近界民にも良い奴が居るだろうって意見した俺と城戸さんが対立して、城戸さんの近界民を倒すよりも街の安全だと意見した忍田が対立して、今三つ巴になった感じだな〜。」


のほほんと言ってるが、笑ってる場合じゃない。これ結構不味い状況じゃないですか。


「ま、というわけで麟児。玉狛に来ない？」


林藤さんの目的は俺を玉狛支部に入れる事。だから麟児をここに呼んだのだろうが、それにしては急すぎる。

麟児はそっと林藤さんを見た。

ニコニコ笑っていていつもと変わらないような気がする。


「……それは保留で良いですか？」


良いぞ、と答える林藤さん。


林藤さんの目的は何なのか…

102→←100

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す