114話目 ページ25
『迅さん、』
「A」
ラウンジ。
朝の割には騒がしかった。
『結局屋上になりそうだね』
「そうだなあ」
『行く?』
「うん」
その言葉を合図に迅さんは席を立つ。
私は迅さんとラウンジに来た時から目をあわせていたが、迅さんの方は目があってるようであっていなくて、どこか遠くを見ている気がした。
·
屋上。
『それで、なにかあったの?』
「......謝らないとなって思って」
『......?病室で散々謝ってくれたよね...?』
「それでももう一度きちんと謝らないとなって思って。ごめんね、おれ知ってたんだ。Aが殺される可能性が高かったこと」
『......!』
「知ってて、黙ってた」
本当に、ごめん。そう言って深く礼をする迅さんに、私は声をかける。
『......いいですよ、結局こうして生きてるわけだし』
迅さんはゆっくり顔を上げる。
でもまあ、とつぶやく。
『もし本当にうっかり死んじゃってたら殴ってたかもなあ、とは思うかな』
迅さんはこっちを見て困ったように笑う。
「死んじゃったら殴れないじゃん......」
たしかに。と私は笑ってうなずく。
「それで、お詫びしたいんだけど」
『お詫び?』
「うん、埋め合わせられるとは思ってないんだけど」
『............じゃあ、』
すっ、と息を吸う。
『――――――』
私の放った言葉で、迅さんは僅かに動揺し、空気が揺れた。
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天(プロフ) - 何も言わずに旋空弧月さん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです。ちょうど一話更新したのでもしよかったらぜひ!これからも低速ではありますが更新していきたいと思うのでよろしくお願いします! (2021年5月27日 22時) (レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
何も言わずに旋空弧月 - ストーリーに惹き込まれ一気読みしました。大好きです。作者様の都合もあると思うので気長に更新を待ってようと思います。 (2021年5月27日 20時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 天さん» いえいえ!作者様にも事情がありますし、こうしてまた更新します!と言う言葉を見て、帰ってきたー!と嬉しかったです!はい!こちらこそ、これからも宜しくお願い致します! (2021年4月11日 12時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - Yu-grenaさん» コメントありがとうございます!本当ですか……長い間更新が止まっていて申し訳ないです……すごくうれしいです!これからもよければよろしくお願いします!! (2021年4月11日 6時) (レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 初コメ失礼します!天様のワートリ小説(三輪くん)のお話、一から読んでて…大好きです!これからも無理せず、お体に気をつけて頑張ってください!応援してます! (2021年4月11日 0時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天(元れたす。) x他1人 | 作成日時:2020年1月2日 14時