21･花の都にて ページ21
それから数時間後。
私達はイタリア･フィレンツェに到着した。
窓の外から見える景色が、これまでとは打って変わって鮮やかになり、満開のミモザが春の日差しを受けてきらきらしている。
｢う、わぁ…！｣
ほんとに春だ…！と感激している私にラビさんが
｢そんなんじゃついてけねぇさー！｣
と、ニヤニヤしながらどついてくる。
｢え“っ｣
と、ショックを受けている私にガフィルドさんが
｢嘘ですよ｣
と告げ、爆笑するラビさんの頭をはたくと
｢行きましょうか｣と先導に入る。
少し離れた建物の壁に寄り掛かる神田さんに手を振って呼ぶと、怠そうに欠伸をしながらもこちらへ歩いてくる。
ガフィルドさんはそれを確認すると、
｢見てすぐに分かるでしょうが、
フィレンツェには今、春が訪れています。
調査に入った探索隊からの報告に拠れば、ここからさほど離れていない、とある一家が越してきてからだそうです。｣
と、ずんずん歩きながら説明をする。
｢ハルカちゃん、貴方はまだイノセンスをうまく操れませんね？中距離攻撃のラビさんの近くを離れないでください。｣
念押しするように、ダメですよ！？と言うガフィルドさんにはい、と返すと、
｢アクマはもう確認されたんか？｣
と、ラビさんがガフィルドさんに問う。
｢ああ、まだ確認されていないそうなのですが、やっぱり時間の問題かと…。｣
と、返したガフィルドさんに
｢やっりぃ！そう来なくちゃね！｣
と、ウキウキして答える。
ｰｰｰｰｰｰいない方がいいんじゃないんですか…？
と、思わずにはいられないが、後ろの神田さんも嬉しそうに見える。
戦闘狂ばかりなのかと思いつつ、携えた剣が何も言われなかったことを思い出す。
と、いきなりぽつんと神田さんが呟いた。
｢ローズクロスの権威。｣
｢え…？｣
｢剣。｣
そう言われてようやく合点がいく。
驚いて振り返り、
｢分かったんですか？｣
と、投げかければ
｢勘だ。｣
適当に返事が返ってくる。
｢勘って…｣
つくづくこの人は不思議な人だ。
夢に入ってくるわ、思考してことを思い切り見破るわ、ほんとに…
｢獣っぽいんさ、ユウは。｣
くるんっ、と回りながら軽くラビさんが言う。
｢舐めてんのか｣
と、刀を手にした神田さんを他所に、
出来るだけ無心でいよう。と心に誓う私なのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
菜雲(プロフ) - これからも、菜雲をよろしくお願いします。 (2018年4月7日 14時) (
レス) id: 22316c2bb7 (このIDを非表示/違反報告)
菜雲(プロフ) - 厚かましくはありますが、菜雲の方で細々とですが、小説を書かせてもらっております。よろしければですが、そちらの方も見ていだだけると、光栄の限りです。応援してくれていた方、本当に申し訳ありませんでした。 (2018年4月7日 14時) (レス) id: 22316c2bb7 (このIDを非表示/違反報告)
菜雲(プロフ) - 続きを待ってくれていた方や、楽しみにしてくれていた方がいらっしゃる中、とても不甲斐なく思います。大変申し訳ありません。 (2018年4月7日 14時) (レス) id: 22316c2bb7 (このIDを非表示/違反報告)
菜雲(プロフ) - こんにちは、元･菜っぱ、現･菜雲です。《命を懸けて》は、パスを忘れたために続きが書けなくなってしまいました。 (2018年4月7日 14時) (レス) id: 22316c2bb7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菜っぱ | 作成日時：2017年10月28日 16時
