12話 メイド様はお怒りのようです オットーside ページ13
んー……、なんだかうるさいですねえ。
それに、さっきから身体をゆすられているような気が……。
まあ、僕の部屋に勝手に入ってくる人もいないでしょうし、気のせいでしょう。
どうせまた、ナツキさんあたりが騒いでいるに違いありません。
そんなことをぼーっとした頭で考えながら、僕はそばになにか温かくて、抱きやすそうなものがある
ことに気づいた。
抱き寄せてみると、なぜかもぞもぞと腕の中で動く。
僕は疲れているんだな……なんて都合よく解釈しながら、抱きしめたものの温かさや柔らかさを堪能
した。
なんだろう、僕が使っているシャンプーと同じ匂いがします……。
あー、ずっと抱えていたいです。
でも何でしょう、この背徳感……。
なんだか悪いことをしている気分です。
そう思った直後、顔面に衝撃を感じた。
!?!?
なんかめちゃくちゃ痛いんですが!?
この前僕が殴ったナツキさんも、こんなに痛かったんでしょうか……。
後でちゃんと謝ろう。
慌てて目を開けてみれば、そこにいたのはAさん。
「んー……?」
僕はまだ寝ぼけているのか、自然とだらしない声が出た。
寝ぼけすぎて、ついに幻影まで見えるようになってしまったのだろうか?
だが、何度瞬きしてもAさんの姿がはっきりと見える。
しかも、僕の腕の中にすっぽりと収まっている。
うるんだ瞳が愛らしい。
「……。うあぁっっ!?」
まさか、Aさんが自分から入ってきたんじゃ……。
「オットーが勝手に抱きしめてきたんだよ?」
ですよねえ!
僕の心を完全に見透かしているAさん、怖いです。
「僕、こんな事する柄じゃないんですけどねえ。Aさん相手だと、なんだか気が抜けてしまうといいますか……。とにかくすみません。気をつけますので」
Aさんには、嫌な思いをさせてしまったに違いありません。
僕は謝罪の言葉を口にする。
Aさんにに嫌われるのは嫌ですし。
え、理由?
……そこは、察してください。
「いや、別にいい。嫌じゃ、なかったし……。あと、怒ってるわけじゃない、よ。……とにかくっ!夕食!エミリア様にしばかれるよっ!」
Aさんは優しいですから、僕が負い目を感じないようにそう言ってくれているんでしょうね。
「エミリア様ってそんなに野蛮なんですか!?」
僕が、本当はAさんはこれっぽっちも怒っていなくて、むしろ照れ隠しに必死だったことを知るのは、まだかなり先の話だ。
13話 愛され猫の発魔期は突然に〜パックの発魔期 1〜→←11話 メイド様は照れられているようです 夢主side
8人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あくる(プロフ) - そんな事を言って頂けて、感謝感激です! またちまちまと番外編を書こうと思っていますので、よろしくお願いします! (11月1日 18時) (レス) @page28 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
作者くん!(プロフ) - 神ですね、この作品 (11月1日 17時) (レス) @page28 id: 36c939bd27 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あくる | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/03240906ak1/
作成日時:2023年7月2日 1時