どうぞ死んできてください。【ハウルの動く城】

ミルクティー ページ34

「……寝るの？」
「うん、ハウルは？」
お風呂を済ませたあと、戸締りをしようとリビングに行くとハウルがカルシファーの前に座っていた
「……なら良く眠れるミルクティーをあげよう」
「ミルクティー？」

変な気遣いをしてみせるハウルに笑いながら聞く

静かにこちらに来て渡されたのは確かに甘い香りのするミルクティー

でも、なんか、なんだろうこれ

「ハウル、これ、魔法かかってない？」

「良く眠れる魔法さ」

そんなにいい類いの魔法なんだろうか
それとは少し違うような…

「……違うと思うんだけど。

本当はなんの魔法がかかってるの？」

「……」

もう一度聞くとハウルは深い溜息をついた

「…指定した記憶を消す魔法」

「え………き、記憶を消すって……」


そんなことをしようとしてたハウルに少しの恐怖を覚えながら理由を聞いたら

どうも気をつかってのことらしい


「……パーティーのことだけれど、はっきり言って君がどうにかできることじゃない

だから、いっそのことその記憶を消してこっちだけで処理しようと思ったんだ

なのに君が気付いてしまった」

作戦失敗だよなんて笑うけど、それ…

「……気遣いなんていらないよ

パーティーのことは私が覚えてないとだめなことだから。

私の意志じゃないにしろ人が死んでる。私のせいでね
だから、何がなんでもそれは覚えてなきゃいけない。」

「…そう」

「でもね、ハウルが言った通り私は無力

力だってないし、魔法だって使えないし、勉強も得意じゃないから頭も悪いようなもの

だけど、それでもきっと何かできることがあると思う。運が良ければかえれるかもだし？」

なんてね、と私も笑う

気遣いなんていらないって言ったけど、ハウルが言ったことも事実だから

だめ？と言えばハウルはまた溜息をついたけれど無力なりに頑張ればと言ってくれた

「じゃあ私寝るね？

このミルクティーはどうすればいい？」

「置いといて、カルシファーにでも飲ませておくよ」

「嫌だね！」

「でしょうね、まぁ頑張れカルシファー

じゃあおやすみなさーい」




「はぁ、強くなったと言うべきか、なんというか」

「なんで魔法を見破ったんだろうな」

「知らないよ、それもなんかひっかかるけど…疲れたから僕もあと少しで寝よう」

「今寝に行けばいいだろ」

「…………一緒に寝るって…それは……なんというか」

「照れて……あああああ」

「今の会話の記憶を消そう」

「み、ミルクティーは苦手なんだよあああ」

退屈なんてもんじゃない→←乱用禁止！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す