どうぞ死んできてください。【ハウルの動く城】

心あたり ページ31

落ち着いたあとハウルが言った

「あの男が君を連れてきた理由に少し心当たりがある」

聞く？という言葉に少し戸惑う

「聞くと…だめなの？」

「ショックを受けるかも知れない」


つかさず言われる
ショック……か

「……聞くよ」

戸惑ってる場合じゃない




「……ある昔の魔法にこんなのがある」

本を指差し言われるが……文字は読めない

「読めない…」

「……文字が違うのか

《異世界からの人間による力の得かた》と書いてある」

異世界からの人間…による


私がなにかに利用されるということ？


「異世界からの人間は不思議な力を持っている

つまり、君でいう僕たちみたいなものさ

君からすれば僕たちは不思議な存在

反対に、君は僕たちからすれば不思議な存在というわけだ

ここまではわかる？」

こくりと頷く

「……本には、その異世界からの人間を使って

魔法使いじゃない人間を魔法使いにする方法がかいてある」


魔法使いじゃない人間を魔法使いにって…だから力の得かたなのか

ちらりとハウルを見れば眉を寄せていた



「その方法は少し…犠牲を伴う

まず、異世界から人間を呼び出すのに必要なことが

この世界の人間の死」

「死っ？！


私はそんな犠牲を出した中で呼ばれたの……っ？！」

「そして、赤子の爪、女の髪

猫の心臓……禍々しいものばかりだ」

そこまでしてその人は魔法使いになりたいのか

でも元々なかったものをつくるという秩序にあってないことをするのだから犠牲が多いのはわかりたくないがわかる

「……そして、呼び出した異世界の人間の心臓を食べれば…力を得られる」

ハウルの長い指が私の左胸をつんと触った

「…心臓……っ」

ゾワリとした寒気がした

怖い、怖い

でもなにより

「私、人を…犠牲に……」

「……君のせいじゃない」

そうは言うものの、私が今ここにいるということは確かに誰かが死んだんだ

この世界の誰かが…

「聞かなきゃよかった？」


「……ううん、そんなことない」

ショックなことには変わりないけど、知らないよりは全然いい

でも、どうしてそんな犠牲を払ってまでその人は力が欲しいのだろう

「…でも…私さよくわからない

なぜそんなに力が欲しいのかな、その人は」

「魔法使いは悪く言えば好き勝手できてしまうから…

魔法使いが納めている国は結構あるしね」

そして、続けてハウルは言った

「確かに魔法は便利だ
でもその分、使い方を間違えると大変なことになる」


「……そうだね」

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