コーヒーを ページ4
やはり切れぬ重い雲の下を足早に歩く。メローネは先程と違い、Aの歩調に合わせていた。
｢久々だな。Aの家行くの｣
｢最後に来たのいつだった？｣
｢去年の冬。あんたがヤケ酒して、それを運んだ時。イライラしてたとはいえ、どうかと思うぜ｣
メローネに運ばれた記憶は無いが、ヤケ酒をした記憶はあった。Aは途端に恥ずかしくなり｢あー｣だの｢うう｣だの呻いて顔を覆う。
｢そうか……次の日ぐらいにでも言ってくれればこんなに羞恥を感じることは無かったんだけど……｣
｢聞かれなかったし｣
素っ気ない声とは裏腹に、メローネの口角は上を向いていた。子供が、悪戯が成功した時に浮かべるような笑みである。Aはこの笑顔に弱い。この無邪気な表情を見せられては何も言い返すことが出来ないのだ。せめてもの腹いせにメローネの腕を小突く。
｢しばらくお酒控える……｣
反省が口から落ちた時には、既に自宅の前であった。レンガ造りの古いアパート、その二階を五年前から借りている。縦横無尽に蔦が這い回る外観はまるで廃墟だが、内装は十年程前に改修したらしく小綺麗になっているのだ。
｢大したものは出せないけど｣
｢いいさ。セルフサービスのコーヒーで十分だ｣
それだけの会話を交わして二人はアパートの中に消えた。
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えんがわ太郎(プロフ) - 水琴さん» 閲覧いただきありがとうございます。メローネ推しなので私利私欲のために書いています。応援ありがとうございます！ (2018年6月26日 14時) (
レス) id: db7f6d120b (このIDを非表示/違反報告)
水琴(プロフ) - 5部キャラ大好きなのでこういう小説は楽しく読ませてもらってます。メローネをチョイスしてのもいいです。個人的に応援してます! (2018年6月25日 23時) (レス) id: e55a26c290 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えんがわ太郎 | 作成日時：2018年6月24日 22時
