怠慢の昼 ページ2
天候とは気分に大きく影響するものである。一週間も澄んだ青が頭上に見られない日々が続けば、溜息の一つぐらいは出よう。
｢客が来ないとそれはそれで嫌だな｣
黒いエプロンを身につけた女、Aは自身が働くカフェのカウンターで気怠げな呟きを零した。客が溢れかえり、忙しさで目眩がしそうな日は｢面倒だ｣と思うが、あまりに人影を見ないというのも退屈すぎる。彼女は二度目の大きな溜息を吐き、ゆっくりと瞬きをした。
｢やけにじめじめした雰囲気だな。店も、あんたも｣
寝てしまおうかと両目を閉じた瞬間、ぼそりと投げかけられた決して大きくない声に意識は引き上げられる。おかしな髪型の金糸が揺れている。
｢……メローネ｣
｢どうせ暇なんだろう。おれの相手くらいしてくれてもいいじゃあないか｣
隣の席に腰掛けた男はメローネという。何を考えているかは分かりかねるが、Aとは長い付き合いだった。
｢どうしたの。こんな昼間に｣
｢今日は仕事、無いから｣
彼の言う仕事の詳細は聞いたことがなかった。ただ、それ程儲かっているような話も聞いていないため、詮索するのも憚られた。
Aは小さく頷いて姿勢を正す。メローネは頬杖をついて視線を上の方へ向けた。
｢客、これから予定は？｣
｢……多分来ない。昨日も一昨日も来なかったよ。元々人通りが多いわけじゃあないし｣
｢あ、そう。じゃあ、今日はAも仕事終わり｣
淡々とした口調で告げられた次の瞬間にはメローネは店の入口まで移動していた。今日の彼は普段の奇天烈な格好ではなく、シャツにジャケット、スキニーパンツといった出で立ちであった。常にそうしていればどこぞのモデルのような見目だというのに、全く世の中には惜しいことをする人間がいるものだ、とAは三度目の溜息を飲み込んだ。
｢ほら、エプロン畳んで｣
｢はいはい。ちょっと待ってね｣
そう急かす様子は子供のようで、思わず柔らかな声が発せられた。
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えんがわ太郎(プロフ) - 水琴さん» 閲覧いただきありがとうございます。メローネ推しなので私利私欲のために書いています。応援ありがとうございます！ (2018年6月26日 14時) (
レス) id: db7f6d120b (このIDを非表示/違反報告)
水琴(プロフ) - 5部キャラ大好きなのでこういう小説は楽しく読ませてもらってます。メローネをチョイスしてのもいいです。個人的に応援してます! (2018年6月25日 23時) (レス) id: e55a26c290 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えんがわ太郎 | 作成日時：2018年6月24日 22時
