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side kei
隣の部屋なのに、何も気付かなかった。
小さく体を折り、枕元には嘔吐物。
きっと一晩苦しんだんだろう。
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まだ現実を受け入れられない。
だって…昨日の夜、普通に話してたんだ。
俺と翠、2人とも無断で休んだから学校から連絡が入ってたみたいだ。
だけどそれに対応できる余裕は誰にもなくって…完全放置。
由愛からも、何度か翠の携帯に連絡を入れたらしいけど、当然応答はない。
そして、俺の携帯にも。
ようやく電話に出れたのは、夜になってから。
由愛『慧!何かあったの?家にも行ったんだよ?今、どこにいるの?』
そっか、家まで来たのか。
誰もいないから入れなかったよな…。
「葬儀場。」
由愛『え!?何?…お葬式なの?』
「うん…いや、今日は違うけど…。」
由愛『誰が亡くなったの?そこに翠もいる?電話、全然出ない…。』
「由愛。…翠が、死んだんだ。」
ガランとした控室、薄いオレンジの布団が掛けられた翠の遺体を見つめながら、由愛と電話で話す。
ついさっきまで翠の傍に母さんがいたけど、眩暈を起こして父さんが奥の部屋に連れてったんだ。
「…由愛…?聞こえてる?」
返事の代わりに、悲鳴が聞こえた。
その後はずっと泣いてて、話にならない。
由愛『…ひっく…うっ…場所…どこ…ううっ…。』
ようやく絞り出すように場所を聞いてきた。
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電話を切って、1時間くらい後。
外に車が止まった気配を感じ、控室を出た。
雨、降ってたんだ…。
真っ暗で、恐ろしい音が耳をかすめる。
由愛「慧!翠、翠は?」
差してた傘を投げ捨て、俺の所に走って来た。
泣き腫らした真っ赤な目、なりふり構わず出てきたらしく乱れた髪…。
翠…
由愛は本当にお前の事が好きだったんだな。
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2階の控室に由愛を連れて行くと、靴を脱ぐなり翠に駆け寄った。
ペタンと座り込み、泣き崩れる。
「…脳挫傷だって。」
由愛「昨日、電話で話したのに…ちょっと、膝を擦りむいただけだって…雄也君が助けてくれたって…。」
そうだ、昨日俺が帰ってきた時、由愛と楽しそうに電話してたんだ。
由愛「ううっ…慧…雄也君、知ってるの…?」
「あ…。」
連絡、してない。
何もかもあまりに突然すぎて、連絡なんて考えてなかった。
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きょんふぁ(プロフ) - みるみるみるきーさん» 姐さんあけおめでございます!何も考えずにつけたお名前でしたが、なるほど甲本さん…(笑)翔君と同期の設定なので、若めに変換して読み進めてくださいませ。続編の準備が出来ましたので引き続きおつきあいください。2は初っ端から…やばば( ;∀;) (2018年1月3日 18時) (レス) id: 782f9227dc (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - あうぅーー。なに?どうなるの?!え?甲本はなにするの?!やーばい、やばい。あの甲本さんが浮かんでるるる。こないだ金八先生見たばっかだからーー。 (2018年1月3日 0時) (レス) id: 40e0ecae06 (このIDを非表示/違反報告)
きょんふぁ(プロフ) - ヨウコさん» ヨウコさんの絶叫ゲット(笑)先は長いので程々に…(;´Д`)もうパス復活のタイミングが分かんなくなってきてるとこです☆どうにでもなれ〜い(笑) (2017年12月28日 15時) (レス) id: cb24d66707 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウコ(プロフ) - うわぁぁぁ!そうきたかーー!やっぱりきょんふぁさまのとこには私叫び声をあげるんですねー!うおーーー!何をどういったらいいかわからないーー(>_<) …はあはあはあ…沼ですかそうですか。私またどなたかと手を繋いで震えながら読み進めないとだめですね… (2017年12月27日 18時) (レス) id: 1ec0dcf065 (このIDを非表示/違反報告)
きょんふぁ(プロフ) - みるみるみるきーさん» 姐さんに好きと言ってもらえて嬉しい(*´▽`)でもこの先沼が待ってます。どうか引かれませんように(笑) (2017年12月27日 17時) (レス) id: fd52a08e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:京華 | 作成日時:2017年11月27日 22時