子育て短編集【アイナナ】

天パパ ページ19

九条凪音(なぎと)くん 10歳


天「2分の1成人式？」


凪音「そう、今度の授業参観」


20歳の半分、10歳の息子は授業参観で2分の1成人式をやるらしい。


A「それで、天に来て欲しいんだって」


お仕事の忙しい天が簡単に頷くとは思えないけど…


天「…分かった、行くよ。空けておくね」


スケジュールの手帳をパタンと閉じて、凪音に笑いかける。


凪音「ほんと？やった、約束ね」


天「楽しみにしてるね、凪音」





当日の朝


凪音「……お父さんは？」


A「凪音、」
凪音「来ないの？」


生放送の出演が急に入ってきて、天は生憎来れそうにない。


A「お父さん、仕事が入っちゃって…」


凪音「いいよ、別に」


凪音の諦めたような、冷たい声。絶望にも近い声音


A「あのね、お父さんは＿」
凪音「どうせ、僕のことなんて仕事以下なんだよ」


『行ってきます』も言わずに飛び出す凪音


私は、『行ってらっしゃい』も言えずに立ちすくんでいた。




いよいよ、凪音の発表。


少しばかりの期待を込めて扉を見たが、天の姿はない


A「がんばれ」


口パクで凪音に伝える言葉。ちょっとだけ笑ってくれた。


次の瞬間


天「ま、間に合った＿＿＿」


すぐ隣で聞こえる声と荒い息。


A「!?て、天！」


小声で会話しているが、周りのお母さんは『わ！』と驚き、


発表中の凪音も一瞬固まった。


天「なにやってんの」


意地悪に笑った天を見て、発表を再開する。





凪音「お父さん、来てくれたの！」


天「何とかね。生放送終わってからすぐに車飛ばした」


天は運転が上手ではない＿＿＿というかあまりしないはず。


A「姉鷺さんの車？」


天「うん、楽と龍置いてきちゃった」


凪音「ははは！」


凪音に笑顔が戻る。


九条家の平和は天が握っているのかもしれない。





楽「あれ、天と姉鷺は？」
龍之介「授業参観行ったって。良かったね、天！」
楽「良かったね、じゃねえよ！歩いて帰んのかよ！！」




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更新遅れてすみませんでした！
チェリーさんからのリクエストでした。
リクエスト、ありがとうございました！

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