七話 ページ8
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「睡蓮さんは雫さんって云うんですね!」
「煩いよ敦君」
睡蓮、と云う偽名から本名で呼ばれるようになってしまった。
此れじゃぁ、敵に情報がバレてしまう。
「相変わらず冷たいな……」
「煩いよ雪」
雪、久し振りの再会で其れは非道い。
私の何処が冷たいのだ。
「何処か太宰さんに似ている………」
「芥川君其れは褒めているの?」
初めましてで『太宰さんに似ている………』なんて云われると思ってなかったよ。
褒めてるの? 貶されてる?
急な情報量で口からため息が零れる。
―――ツッコミが追い付かない。
敦君は基本的にツッコミだが、純粋故に時々ボケに回る。雪も然り。
そして芥川君、彼もツッコミキャラだと思えば意外にボケだ。
―――胃痛がしてきた。
「はぁ………。君達、今は抗争中だよ? もっと緊張感持ってくれないかな」
「すみませんっ」
「戦いたくない故……」
「此奴が戦わぬ故」
私も戦いたくないし死にたくないよだからこそ緊張感を持ってくれ給え。
太宰さん、それか中也………。後安吾。
ツッコミキャラ来てくれ、いや太宰さんはボケだ矢張り来ないでくれ。
―――だが、フラグと云うのは、本当にあるらしい。
「………君、誰?」
いや何で来ちゃうの?!
お願いだよ帰ってくれ。大人しく自害していてくれ。
………否、自害はしないでくれ矢張り。
「………疲れた」
「何なの? 君……。ポートマフィアに君達の顔はないし、あっちの組織にもいなかった」
怪しまれてる死。
……おっと間違えた。怪しまれてるし。
二回殴って五発撃たれるのは勘弁してほしい。
「太宰さん、此の人は僕の親友の雫―――」
「一寸静かにしてね?」
太宰さんに本名がバレる=死。と云う方程式が成り立ってしまう。
親友は私を殺したいのか?
やめてくれ未だ私は死にたくないんだ。
「私は睡蓮………。本名はまぁ、君なら直ぐに判るかも知れませんね」
「ふーん………。君、幾つ?」
「あまり自分の素性は明かさない方が立ち回りやすい………。マフィアでは常識では?」
私と太宰さん、何方も笑っていない微笑みをして、何処か不気味な雰囲気が流れる。
却説、此処で悪いニュースを。
―――【悲報】私、次の話で二回殴って五発撃たれているかもしれない。―――
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作者名:雨川秋 | 作成日時:2023年10月24日 0時