・三十八 ページ39
貴方 「そう、素直に」
貴方 「我儘でいなさい」
小梅 「わが、まま？」
貴方 「そう、
でも美しくいなさい」
小梅 「美しく？」
どんどん疑問が生まれ
険しくなる小梅の顔
貴方 「ふふ、そんな難しいことじゃないざんす
ちゃんとわかる時が来るから」
そう、今はその言葉の意味を探せばいい
貴方 「今、小梅には一緒にいたいと思う人はいる？」
小梅 「いえ、
ここに来る前の男の方との交流はあまりありんせん
それにここに来てからも愛とか、好きとかそういうものはあまりわかりせん」
貴方 「そうか
ふふ、今はそれで良い」
小梅 「ほんとですか？」
少し不安そうにしている
その顔を見るとまだ新造だった時の自分を思い出す
貴方 「ええ、きっと見つかるから
愛したいと思う人が」
貴方 「ねぇ、小梅
これは私の大切な人達の受け売りなんだけどね
心から愛したいと思える人に出会ったら
抗ってそれを勝ち取りなさい」
“ 我儘に ”
貴方 「我儘に」
“ 美しく ”
貴方 「美しく」
“ 「生きなさい」 ”
小梅 「抗う、」
貴方 「そう、抗う、抗い続けるの
誰かを愛する事はとっても幸せなことだから」
今は菫さんの言っていた意味がわかる気がする
だって慧様を愛してしまってから
私は太夫になってから初めて幸せを感じたから
希望が見えた気がしたから
貴方 「全部受け売りなんだけどね？」
ふふって笑えば小梅もつられて微笑んだ
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作者名：いのみづちゃん
| 作成日時：2017年8月29日 10時
