・三十七 ページ38
“ 慧様はまだ忘れられないそうです
愛してやまぬ誰かを ”
“ A、愛してるよ ”
“ 人間は運命に抗うことが出来るのだから ”
“ 心からこの人といたいと思う人が出来たなら
抗って、抗い続けて
それを勝ち取りなさい ”
“ 我儘に美しく生きなさい ”
何となく決心じゃないけれど決まった気がした
“ 離したくないよ、Aを ”
私が何をすればいいのか
“ でもAがいてくれて
どんどん変わっていけたんだ ”
違う
自分がどうしたいのか
途端に込み上げる愛おしさはもう抑えることが出来ない
丁寧に畳まれた菫色の着物
私の宝物
それを少しだけ触れるくらいに撫でる
髪に挿した菫の花の簪
鏡を見ればそれがきらりと輝いた
貴方 「私はあなたを、」
残り二日に迫った今
私は小梅を自分の部屋に呼んだ
小梅 「失礼します」
貴方 「待っておったぞ
入れ」
小梅 「はい」
珍しく緊張している小梅
少し顔が強ばっている
貴方 「ふふ、何を固まっておるのじゃ」
そう言えば小梅はため息をひとつして
ほっと安心したような顔になる
もうこの可愛い妹の世話もすることはない
とても寂しいことだ
貴方 「お前はいつまでも変わらんのう」
小梅 「すみません、」
少し寂しそうな顔をする小梅
貴方 「そういう意味じゃなくて」
そう、そうやってすぐに顔に出てしまう所
とても無邪気で
可愛らしい
貴方 「お前はそのまま素直でいればいい」
小梅 「素直、」
そう言えば小梅はまたきょとんとした顔を素直に見せた
45人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いのみづちゃん | 作成日時:2017年8月29日 10時