菫と果実《Kei.i》 (ページ21)

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あれから慧様は月に一度

多くて二度ほど私の所へ来てくれた

もう菫が咲く時期もだいぶ遠くなった

慧「A！！！」

もう初めてあった日から六度目の夜がきた

慧様とは一度も体を重ねることはなく

話を聞いて眠たくなれば添い寝をして

朝になればまたさよなら

貴方「ふふ、お待ちしておりました」

この日だってたわいもない話をして笑いあって

慧「ふぅぁ、」

慧様が眠くなれば一緒に寝る

その夜がどんな夜よりも

どんな快感よりも

気持ちよくて好きだった

慧「そういえば、毎回思うけどこの着物肌触りいいよね？」

貴方「あぁ、これですか？

この着物は私を育ててくれた遊女から貰ったんです」

慧「Aを育てた遊女？」

貴方「はい

私が小梅のように新造だった時私にたくさんのことを教えてくれた人です」

慧「へぇ、まぁ、あたりまえか、Aにも新造の頃があったんだよね」

貴方「はい」

慧「その人は、？」

貴方「私が水揚げをする前に身請けにいってしまいました

その時に貰ったのがこの菫色の着物です」

蘇る私の思い出は

やっぱりキラキラしてて美しい

だけど今でもあなたがいないのは

慧「A？」

貴方「え、

あ、なんでもないですよ？」

とてもさみしい