【オリジナル】百鬼会総長 (ページ4)

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『それじゃあ、行って来る』

「行ってらっしゃい」

「A〜、待って〜」

『待たない』

そんな会話を交わして、通学路を歩く。

全く…兄貴は子供みたいだ。

『(立場逆転してるもんな)』

「A。今日は何の授業あるの?」

『数学だろ、英語だろ、国語だろ…』

「え、多くない?」

『普通だろ、この位』

兄貴は驚いた表情をしたまま。

兄貴って高3だよな?

そんなに驚く理由が分からない。

『もしやサボってる?』

「ｷﾞｸｯ…ううん、そんな訳!」

『そうなんだな。サボり魔め』

「ごめんさぁい!」

上目遣いで、此方を見つめて来る。

『…うわ』

「引くなよA〜」

『(誰でも引くだろ)』

流石に口には出さなかった。

「じゃあ、また後でな〜!」

『はいはい』

私達は高校に着き、分かれた。

学年が違うと、2階と3階で分かれるからだ。

『…おはよう御座います』

出来るだけ小声で教室に入る。

高校では静かな女子高校生を装っている。

何故ならば“目立ちたくない”とか、“標的にされるから”…それもあるが、何よりも“クラスに2次団体の総長、沙翁と3次団体の若頭、壊妬が居るから”だ。

『(バレたらどうなる事か…)』

座席に座り、HRを待つ。

まだ先生は教室には来ていない様だ。

「…あ、百鬼さん。ちょっと良いかしら」

『あ、はい…何でしょうか…?』

急に話しかけられ、読んでいた本をしまう。

「百鬼さんのお兄さんって、何部かしら?」

『…輪廻はバスケ部です』

「へぇ、バスケ部…良いわね、カッコ良いじゃない!」

あぁ、そうか。

この女は兄貴が好きなんだ。

確か名前…

『(瀬戸川実里(せとがわみのり))』

瀬戸川財閥の娘として、かなり有名だ。

『あの…うちの兄に何か用ですか?』

「私の婚約者候補なのよ!」

勝手に婚約者候補に…兄貴、ご愁傷様。

しかもこんな女に好かれるなんて、“凄い”としか言いようがない。

「…A〜!!」

『!!』

まさかの人物__兄貴が走って来て、教室に入って来た。

「ん〜、会いたかったよぉ〜!」

『き、きも…』

めっちゃ抱きしめて来る。

少しでも会えないと、高校ではこうだから。

流石に瀬戸川も引いただろ…。

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