【誰かこの子を】日々樹渉の妹は狂ってた【救う事は出来ますか】

狂ってた ２ ページ2

Aの涙は、次第に治まっていった


「よしよし、可愛いですねぇA！」

『えへへっ、擽ったいですよ兄さん･･･☆』


1007号室は個室で、部屋のあるこの場所は、言わば精神科病棟。

Aは此処に入院している



『＿＿あのね、最近貰う薬が多くなったから、一度に13粒しか飲めなかった錠剤が17粒に増えたんです！驚きでしょう？』

「そうですねぇ、でも喉に詰まると危険なので少しづつ飲みましょうね？」

『ええー面倒です･･･一気に飲んだ方がスリルがあって良いんですよ！』

「Amazing！Aが死んでしまったら、私悲しくて胸が張り裂けます！少しづつ、飲んで下さいねっ！」

『むむっ、兄さんの胸が張り裂けるのは駄目です！分かりました、少しづつ飲むことにしますね』

「物分りの良い子ですねー☆兄の胸に飛び込んで下さい！！」

『キャーっあっははは！！』


Aが一日に飲む薬は様々である

気分を落ち着かせる効果のある漢方薬や液体タイプの薬。
睡眠薬は1粒では足りないので何粒も用意されている。まぁ、それだけ飲んでも眠らない時もあるが
其れ以外に沢山の向精神薬を服用しているA。まだ若いのに、薬の量は病弱な老人の様だ

それだけ、精神に異常があるという事



「Aの手は冷たいですねぇ」

『きっと出血の量が多すぎて体の血が足りてないから冷たいんですよ！兄さんの手は、ぬくぬくです！』


Aの体全体には擦り傷、切り傷、打ち傷等が多くある

全て自分でつけたものと言っても過言ではない


退屈になると、体が刺激を求めてしまうらしい。どんな薬を使っても、完全にこの行為を治すことは出来なかった


「一日三食、規則正しい生活をしましょう！そうすれば血も増えます！」

『余りご飯入りません･･･晩御飯だけじゃ駄目なんですか？』

「夜しか食べないのは駄目です！しっかり朝も昼も食べて、痩せている体を普通の体型に近付けましょう！！」

小さな顔、細い腕、細い足、細い体

至る所に傷があり痣がある。初めて彼女を見た人は、目を瞑りたくなるような程痛々しい姿


先ずは見た目から変わらせようとしているみたいだ。



『Aは、普通の人になれるでしょうか？』

「勿論です！なれないわけがありません！」

『A、普通の人になれたら、兄さんのライブを見に行くのです☆それが、Aの夢なので！』

「!そうですか、それなら頑張らないといけませんねぇ☆」



Aの夢が叶う日は、来るのだろうか

◇

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