【鶴さに♂︎】リベンジ・サルベーション!!! (ページ1)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:146 hit

1話ページ1

穢れてしまった。

だから捨てられた。

縁起物と言われる鶴とは真反対の、不吉を呼ぶとされる烏の様に黒く変わってしまったこの体。

これでは血で染まっても全く目出度くないではないか。

俺は血でどす黒く、そして重くなった戦装束を引きずるように歩きながら笑う。

ここは何処かの戦場らしいが、既に荒御魂になりつつある俺に興味が無いのか敵兵の1人も出てきやしなかった。

ああ、つまらない。

これまで驚きを求めてきたというのに、こんな所で呆気なく折れてしまうのだろうか。

俺は既にいくつもの罅が入った己自身を見やる。

こんなにボロボロだというのに、敵を切るのに使ったのはほんの数回。

これで自嘲の笑みを零さずにどうしろというのだ。

「…最後くらい、刀として折れたかったのだがなァ…」

自分でも驚く程にするりと出たのは、今の主に顕現されてからずっと願っていた事だった。

そしてきっと、もう叶うことのないこと。

それに、あの主の気持ち悪い霊力の中でなく青空の下で折れることが出来るのだ。

これ以上望むことはあるまい。

俺は後は折れる瞬間を待つだけと言うように、その青空を目に焼きつけると瞳を閉じる。

本丸に残された仲間達に、どうか先に折れることを許してくれと乞いながら。

と、その瞬間。

俺の方に濃い血の匂いと清々しい程に綺麗な霊力が漂ってきた。

そしてか細い、助けを求める様な声。

それはどう考えても刀剣では無い、審神者のものだった。

なんで戦場に審神者が居るのかと思わず訝しむ。

正直助ける必要はないが、審神者が時間遡行軍に利用されてしまうと面倒臭いことになる。

ブラック本丸で顕現されようと、俺達刀剣の使命は歴史改変を防ぐことである。

そして何より、刀として折れるという願いを叶えられる。

人の形を取ろうとも、俺は刀だ。

静かに折れるより敵と自分の血に塗れて、断末魔を聞きながら折れる方がしょうに合っている。

俺は自らの体が悲鳴を上げるのを無視して立ち上がる。

傷が開いたのか血が滴るが、それよりも久々に戦える歓喜の方が勝っていたのだ。

俺は無意識に獰猛な笑みを浮かべながら鯉口を切った。