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episode16、ずっと一緒にいられたら ページ16

翔くんと薫くんが私の病室に来てから大分時間が経った

でも、長い時間いるはずなのに、不思議と長く感じない

むしろ、もっと一緒にいたいとすら思ってしまう


貴方「(2人とずっと一緒にいれたらなぁ…)」


…でも、そんなことは叶わない

だって、人間にはタイムリミットがある


そう…


たとえ、遅くても早くても

終わりは来てしまう


私のタイムリミットはどれくらいなんだろう…


 薫「…さん?」


貴方「…え?」


突然の名前を呼ぶ声に、思わず反応が遅れる

ふと前を見据えると、私の顔を心配そうに覗きこむ薫くんの姿があった


 薫「Aさん、どうしたの?ボーッとして…」

貴方「あ、ううん…大丈夫だよ」


死ぬときのことを考えていたなんて、薫くんには言えない


そう思い、私は笑って誤魔化した


 薫「…やっぱ、僕には言いたくないのかな…」


ボソッと薫くんの声が聞こえた気がした

でも、その声は私に届くことはない


〈カチ…カチ…〉


ふと、時計の音が耳に入る

すると、何事もなかったかのように、薫くんが壁に掛けられている時計を見上げた


 薫「あ、翔ちゃん」

 翔「うん?どうした?」

 薫「面会時間、もう終わっちゃうよ?」

 翔「えぇ!?もうそんな時間なのか!?」


翔くんが驚いたように目を大きく見開いて時計を見上げる

そんな様子を見て、薫くんは呆れたように息を吐く


 薫「はぁ…最近ね、お医者さんから『翔ちゃんが面会時間ぜんっぜん守らないから何とかしてくれ』って僕が注意されたんだよ?」

 翔「まじか!!バレてないと思ったんだけどなぁ〜」


そう言って翔くんが笑いながら髪を掻き上げる

その仕草さえ、今の私にはドキッとしてしまう


翔くんに、この心臓の音、聞こえてないよね…?


その位高鳴る心臓を落ち着かせるように、私は胸に手を当て小さく息を吐いた


〈カチ…カチ…〉


沈黙で静かになった病室に、時計の規則正しい音が鳴り響く


時計の音がやたら大きく聞こえる

その音が面会時間が迫っていることを伝えているような気がした


貴方「…なんだかさ、時間が経っちゃうのって早いよね…」


 翔「…そうだよな」


 薫「…うん」


貴方「…」



2度目の沈黙は1度目のそれより長かった



 翔「……ずっと、一緒にいれたらいいのにな」


貴方「…!」


沈黙で静かになった病室に翔くんの声が響き渡る



『ずっと、一緒にいれたらいいのに』



その言葉は、さっき私が考えたそれと同じものだった

episode17、嫉妬(薫Side)→←episode15、胸の痛み



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設定タグ:うたプリ , 来栖翔 , シリアス   
作品ジャンル:恋愛
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ユミ(プロフ) - 久々の更新です(笑)おまたせしました!ちょっとスランプ気味ですが楽しんでくれたら幸いです!感想や要望等ありましたら気軽にコメントなどしてくれると嬉しいです!それからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2016年5月7日 22時) (レス) id: d4e83f1a33 (このIDを非表示/違反報告)
ユミ(プロフ) - あすかさん» あすかさん、コメントありがとうごさいます(*´∇`*)そう言っていただけると、とても励みになります!!更新、なるべく早くしたいと思っているのでこれからもよろしくです!(*´艸`*) (2016年3月14日 17時) (レス) id: d4e83f1a33 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2016年3月14日 14時) (レス) id: a0851de5f9 (このIDを非表示/違反報告)
ユミ(プロフ) - 千弘さん» 千弘さんコメントありがとうございます!!そういっていただけてとても嬉しいです!!自分もまだまだなので、お互い頑張りましょう(笑)千弘さんの小説も気になりますな…! (2015年8月12日 17時) (レス) id: d4e83f1a33 (このIDを非表示/違反報告)
千弘 - 面白いです!!私もこんな文才があったら…。私もうたプリの小説かいてるんですけど、こんなうまくかけないです…(笑) (2015年8月12日 16時) (レス) id: 8e9c7ff5a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユミ | 作者ホームページ:https://twitter.com/yumi0414mazilov  
作成日時:2015年3月7日 2時

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