姉愛［260］｡死物狂い｡ ページ10
荼毘side
｢おいおい落ち着け馬鹿ども！｣
比較的騒がしいトゥワイスが仲裁に入ってきた。それにも苛立つが更にその上をいく苛立ちを目の前の女が与えてくる。
どう焼き殺してやろうか。
じっくり指先から炙るか？
それとも丸ごといっちまうか？
｢荼毘ぃ！ 目がやべぇ！ キモイぜ！？｣
｢キモイのはお前だろ。はぁ……チッ｣
仕方なく殺気を仕舞った。
｢おぉ──｣
｢……！｣
微かに耳を、抜けた。
青臭さがまだ抜け切れていないが低い、野太い声。頭上つまり夜空から降ってきたそれは徐々にボリュームが増していった。
幻聴かと思ったが違うらしい。
怠く目線を上げた。
少し、目を丸くした。
｢A…｣
他にコブが付いている気もしたが、俺の目にはソイツしか映らなかった。
こんな薄闇の中でも映える明るい赤髪。
周囲の黒に決して潰されない黒曜の瞳。
その全てが、何より美しいと感じた。
ドォオンっ！ なんて耳障りな着地音が轟く。
｢知ってるぜこのガキども！ 誰だ！？｣
｢またまたAさんに遭遇ですー!!｣
どっちもうるせぇ。
イカレ野郎が身を乗り出す。そのせいでAの姿が若干遮られた。やっぱ殺すか。
｢Mr.が下敷きになってんじゃねぇかぁ!!｣
｢……おぉ。避けろMr.｣
今気付いた。
Aを避けるように炎を噴射する。
｢っ！？｣
｢ぎゃあっ!!｣
個性を発動しすんなり避けたMr.と、まんまと翻弄されたガキ三人衆。直撃は免れたか。
それにしても、
｢
すげぇ疼く。
｢返…せ｣
｢ん？｣
左右からトゥワイスとイカレ野郎が飛び出した。
俺は静かに、憤りに揺らめくAを見つめる。今にも散ってしまいそうな情人のそんな姿に俺の心臓はゾクゾクと血を早く巡らす。バっと綺麗な顔を上げた。
その瞬間に舞った赤髪に見惚れた。
けれど、すぐに次に、その虚ろな真っ暗闇の瞳に見惚れた。
｢二人を返せ!!｣
叫び向かって来るA。
｢………っはぁ｣
やべぇ、やっぱ欲しい。
｢勝手に、取るんじゃなっ｣
｢可愛いなぁったく｣
｢っぅ！？｣
背後に回り、乱暴に抱き寄せた。
動きが鈍い。反応速度が亀以下だな。
焦り過ぎだ。冷静さを欠きすぎて本来の強さが七割ほど削られている。正気を保てていない。こりゃもう、自暴自棄の域だ。
…いやいい。俺はそっちの方が好きだ。
｢なぁA｣
小さな顎に右の五本指で絡み付く。
愛らしい耳許に口を寄せた。
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
