姉愛［261］｡誘惑翻弄｡ ページ11
荼毘side
｢コッチにおいで。俺はお前に幸福しか与えない｣
緩く甘く、囁いた。
ぶるっと震え立つAの華奢な肩。俺の言葉のどこに恐怖を覚えたのかは分からなかったがその反応だけで酔い潰れそうだった。中毒性の酷い酒みてぇに、お前は、そうやって。
だから、“こう言う事”になってんだよなぁ。
｢Aね──、っ…｣
見慣れたような顔の奴が、妙な反応を見せた。
Aを心配して、俺に殺気を向けたかと思えば口を開きかけ閉じる。
変に苦しそうだが何だありゃぁ。
｢いってて…飛んで来るとは予想外過ぎた｣
｢Mr.…、爆豪は？｣
｢勿論ここに。それよりその女性は｣
｢嗚呼。死柄木が言ってただろ。俺も個人的に追っててな。それと一緒に連れて帰る｣
脱力に近しいモノをしている腕の中のA。
ふむふむと納得するMr.を横目に赤い髪を撫でた。……急に大人しくなったな。
思った瞬間、黒い霧が漂った。
｢合図から五分経ちました。行きますよ荼毘｣
｢…っワープの…！｣
ガキ共が顔を青くする。
特にボロボロの奴が。
｢駄目だっ逃がしちゃ駄目だ……!!｣
一番ボロボロな癖して一番走りやがる。
まぁ絶対に間に合わないけどな。
と思ったが、マスクのガキに一つを奪われた。
……まぁいい。こっちには二つ。
｢ありがたく貰うぜ。Aと爆豪｣
｢ふざっけんなぁ!!!｣
“轟焦凍”が怒りを爆発させる。
今更怒鳴ったってどうしようもないってのに。
黒霧に包まれていく俺達の体。Aの体。
ずっとずっとお前だけの隣にいたんだ。今度は俺の番だよ。独り占めは許さねぇ。
｢哀しいなあ。とどろ｣
｢ドブ野郎がああぁぁ!!｣
｢！？｣
斬撃…！？ 飛んで来たのか！？
ザザンっ!!
俺とAの間は文字通り斬り裂かれた。
流石に驚き声のした左方向へぼやける瞳を向けた。黒髪の男が鬼の形相で走って来ている。色の白い、そいつの手には、刀身から柄まで黒い大剣が握られていた。
当てられる殺気だけで、その男がヤバイと察す。
｢黒霧！ 早くしろ！｣
｢分かっております｣
もう少し。もう少し。
Aは俺の──
｢じゃねぇ。“コッチ”だ｣
グイっ、いつの間にか目前にいた色白の男がAを俺から引き離した。
優しく強引にAの腕を引っ張って。
｢………ぁー｣
スローモーションに見えた。
景色がモノクロで遅かった。
｢かっちゃん!!｣
寸前聞こえたのは、ガキの喚き声だった。
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
