姉愛［252］｡想起中心｡ ページ2
｢見てみろ西宮。可愛いだろ俺の娘は｣
｢…赤ん坊なんて興味ねぇです…｣
｢いいから見ろ。こっちに来い｣
｢はぁ！？ いって、ちょ、離──｣
｢ほら。笑ってるぞ。可愛いだろ？｣
｢………。あぁ、確かに｣
そう、綺麗な微笑みを浮かべた。
｢…っ！？｣
視界をかたどる枠が黒っぽくぼやける。
暫く放心しているとそのぼやけはどこかへ消えていて、微妙な喉の乾きとまだ熱い脳みそから私は今起きたのだな。とわかった。
浮上するクエスチョンマーク。
｢…何の夢だ、今のは｣
随分と若い父さんらしき男性が、赤ん坊を腕に抱えて、それを仏頂面で扇ぐ茶髪の背の高い男性は。
乱暴な口調と態度と、荒んだ瞳だった。
……違う。違うよ。彼じゃない。
｢変な夢｣
昨日、涼羽の声であんな事を聞いてからおかしくなったのだろう。しっかりしなくちゃ。
｢？｣
上半身を起こした時、枕元にメモを見つけた。
4つ折りにされていたそれを開くと、走り書きながらも達筆な文が顔を出す。相澤さんのものだとすぐに察した。
｢体調が回復するまでしっかり休め、晩飯の後は肝試しがあるが参加するかしないかは自分で決めて大丈夫だ…か。今何時だ、うわ。何時間寝てたんだ｣
時計を見て思わず苦く顔が歪んだ。
昨日は午前4時くらいに寝て…もはや昨日じゃない。
どちらにせよ寝すぎだ。何やってんだ。
｢……は｣
『皆!!!』
吐きかけた溜め息が器官に戻る。
｢…マンダレイ？｣
『敵二名襲来!! 他にも複数いる可能性り！』
｢！？｣
敵？ どうしてここに？ 何故わかった？
｢っ──｣
適当に背広を拾って部屋を飛び出した。
どうしていつも、こういうことになるんだ。
私達は最善を尽くしている筈なのに。
敵はその最善をいとも簡単に叩き潰してくる。
｢綺麗な赤い髪！ 見つけました！｣
こんな風に。
──！？
｢下さい！ その赤下さいAさん！｣
右手から鋭利なナイフと共に飛んで来る少女。
｢また名前知られてるし｣
森林に入った途端これとは。
大好きな自然の中で血みどろはしたくないと言うのに。向こうはそれをする気に満ちている。
｢赤っ！ 赤を下さ｣
｢ちょっと這っといて｣
｢ぐぇっ！？｣
頭に右手を置き。
左手で少女の左腕を掴み。
地面に押さえ込む。
｢目的、人数、配置を言え｣
｢………。むふ、いーやっです｣
ゴキっ！
｢いだぁっ！｣
｢言え。早く｣
早く。
姉愛［253］｡次から次｡→←姉愛［251］｡Prologue｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1744人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
