姉愛［253］｡次から次｡ ページ3
｢Aさん、やっぱり素敵です｣
｢私の質問に答えろ｣
投げ言って、また関節を曲げる。
小さく呻くがさして効いていないよう。と言うか気にしていないように、目尻に高揚の皺を集める。明らかに狂ったイカれた人間の目。
私の嫌いな人間の目。
その、奪う奴の目。
｢Aさんは大切な人とかいますか？｣
｢……目的人数配置は｣
｢私もいます。Aさん、好きです｣
｢黙って、早く教えろ｣
嗚呼もう。早く早く早く。
こうしている間にも焦凍が、出久が、勝己が、みんなが、傷ついてるかも知れない。
失うのは嫌だ。
近くにいるなら、届くなら。
【西宮お兄さんが……】
失いそう…に、なってて、なって、るんだった。
じゃあまだ───
｢手遅れですよ｣
｢！？｣
｢今、私の“本体”がカァイイ二人の女の子を捉えました。茶髪と赤らんだほっぺの女の子…長い黒髪をちょうちょ結びみたく結ってる女の子…｣
……それは、麗日、蛙吹。
｢あぁ二人ともカァイイなぁ…｣
構っている暇なんてない。
すぐ駆け出した。
少女を氷結で拘束することも忘れず、私は走った。
二人が何処にいるのかわからない。けれどそれでも見つけなくてはいけない。いや、二人だけじゃない。みんなみんな、怖い思いをしている。
大体の理解はした。
あの少女はクローンの様なものだ。
敵側に“そう言う個性”を持った奴がいるんだろう。
厄介だな。人を増やすことが出来るなんて。
｢………厄介だな｣
本当に厄介だ。
心が重い。それこそ鉛みたいに。
｢きれいなきれいな真っ赤っか｣
｢…！｣
前方に現れた黒色が、うじゅじゅと体を揺らした。
｢大好きな血の色だ。きれいな髪｣
私にその不気味な口内を見せつけて言う。
｢…気持ち悪い｣
さっきの少女と言いコイツと言い、私の赤髪のことばかり。嬉しくない。これっぽっちも嬉しくない。
君達みたいなのに褒められたって。全く。
｢肉面見せて｣
｢嫌だ｣
｢じゃあ、見る｣
低い声で断言した。
瞬間、男が宙に舞う。
その棒のような体をどうやって浮かせたのか。
思ったが、すぐわかった。男の歯から飛び出る刃物のようなおぞましいそれを見て。
｢きれいな赤色…！｣
｢ちっ、次から次へと｣
邪魔だよ。
｢道を開けろ！｣
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
