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Aside
「う〜、寒い〜！！」
冬の朝をなめてたな。
今日であの子犬のお世話を始めて6日目。
初めての休日だから、私も朝行ってみようと思ったのはいいけど、二階堂くんていつも何時にエサあげてるんだろう？
曲がり角に近づくにつれて、キャンキャンといつもの声が聞こえてくる。
「おはよ。あったかいな〜お前は。」
それに言葉を返す男の人の声。
二階堂くんだ。
不意にこっちを見た彼と目が合う。
「Aちゃん？何してんの？」
「おはよう。今日は会社休みだから、来てみた。」
私の言葉にふわっと微笑んだ彼。
なんだかまだ眠そう。
「二階堂くん、起きてる？」
「起きてるよ〜。目が開かないだけ。」
何それ(笑)
目をこすりながら、あくびをする姿は完全に子ども。
なのに、
「朝から会えるっていいね。」
「っ、、」
トロンとした目で、そんなことを言ってきた。
「そ、そうだね。」
前と同じ。
私だけ変に考えすぎちゃって恥ずかしい。
「格好も。いつものOLさんじゃなくて新鮮。」
寝起きなのか、彼の掠れた声に余計ドキドキさせられる。
たしかに普通の部屋着だけど、、
なんか、そう言われると恥ずかしい。
もっとちゃんとした服着てくればよかった。
私が何も言えないでいると、彼の腕に静かに収まっていた子犬を私に抱かせた。
「おはよ〜。かわいいなあ今日も。」
顔を近づけると、口元をペロペロと舐められた。
こんなに癒される朝ってなかなかない。
「ねぇ、名前つけない？」
ジッとこちらを見ていた彼がおもむろに口を開いた。
名前か。たしかに、あったほうが呼びやすいかも。
「うん。何にする？」
「Aちゃんが決めていいよ。」
「え、分かんないよ。難しい。」
何かを決めることが、苦手。
自分の提案に自信なんてないから、常に他の人に同意するだけ。
「だってそいつ、俺よりAちゃんの方が懐いてるみたいだし。」
そう拗ねたように言う彼は、目の前の子犬と同じくらい可愛い。
「そうなの？ん〜じゃあ、、、」
「チョコ！」
「チョコ！？」
「うん、ダメかな、、」
彼の反応に自信がなくなり、慌てて目をそらす。
「いいじゃん！かわいい！そいつチョコみたいな色してるし。」
「、、ほんと？」
「ほんとほんと。なんでそんな心配そうな顔してんの(笑)」
よほど顔に表れていたのか、一瞬驚いた顔をした彼が、ポンポンと私の頭を撫でた。
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作者名：ちーず | 作成日時：2019年11月21日 21時
