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Aside
「A今日急ぎの用事があるみたいなんで、私でもいいですか?Aほど完璧にこなせるか分かりませんけど(笑)」
「え、ああ、ありがとう彩ちゃん。」
「ごめん彩。ありがとう。」
「失礼します!」
はぁ、、
また断ろうとしなかった。
彩に迷惑かけちゃったな。
なんでいつもこうなるんだろう。
頭ではそう考えつつも、だんだん暗くなっていく空に、自然と足が速くなる。
「キャンキャン」
、、いる!
朝と同じ角を曲がると、しっぽを振ってこっちを見る子犬と目があった。
「ただいま〜!」
「よしよし、寒かったね。」
雨で濡れた体はとっくに乾いていて、朝よりもこもこ度が増してる。
私が抱き上げたことでより一層しっぽを振ってくれた。
、、ちぎれそう。
「あれ?」
そういえば、傘は?
私の傘は?
あの人かな。
もしかして、とられた!!?
え、新手の、、窃盗?
いや、違う、絶対違う。
見知らぬ私に傘貸してくれたもん。
ていうか、
彼の傘を置いて、私は自分の傘で会社行けばよかったのに。
「やらかした、、」
「あ、お姉さん!」
「あっ、」
私を見つけて走って来た彼。
なんか、、
その行動と、この顔。
無意識のうちに、私の腕にいるこの子と彼を見比べた。
「、、似てる。」
「へ?」
「え、ああ!!いや!なんでもないです!」
何考えてんだ私!
「よかった、もう会えないかと思った。」
「あの、傘ありがとうござました!」
彼の発言に他意はないのに、なぜか恥ずかしくなって傘を彼に押し付ける。
「ああ、うん。大丈夫だった?濡れてない?」
この人、きっと私より年下なのに、タメ口でもイラッとしないのはなんでだろう?
「だ、大丈夫です。おかげさまで。」
「ふふっ、お姉さん堅いよ。」
「いや、、あなたが柔らかすぎるんですよっ!」
言ってすぐ、あ、って思った。
人に対して、柔らかいって何。
「ふはっ!!俺柔らかいの?初めて言われた!」
私も初めて言いました。
恥ずかしくて俯いてたら、やっと笑いの収まった彼が「Aちゃん?」って呟いた。
「、、、、え!?」
空耳かと思った。
「その反応だと当たりだね。」
「なんで名前、、」
「これ。」
そう言って差し出したのは、とられたと思っていた傘。
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作者名:ちーず | 作成日時:2019年11月21日 21時