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Aside


「うわ〜、懐かしい顔がいっぱいだ〜!」

「ね、私あっちのテーブル行っていい?」

満面の笑みを残して去って行った百合から視線を移すと、なんとなく気まずい人と目が合った。

「久しぶりだな、A!」

「あ、久しぶり。」

「んな気まずそうな顔すんなよ(笑)」

「ご、ごめん。」

「なんか、綺麗になったな。」

「何言ってんの!そんなことないよっ!」

「はは、その反応は変わってねえけど(笑)」

「颯斗(ハヤト)くんだって、変わってないよ。」

みんなを明るくする笑顔が、相変わらずかっこいい。

「それ、いい意味?」

「もちろん。」

「なら良かった。」

私の初めての彼氏。

彼が大学進学で地方へ行くことになって、別れを決めた。

もちろん別れは辛かったけど、それ以外はいい思い出しかない。

そんなことを思い出してるうちに、人気者の彼はみんなに連れて行かれてしまった。

また後でな、なんて言って頭をポンポンとしてきた彼にドキッとした。

二階堂くんの手とは違う感覚。




「A!!?」

「うわー!久しぶり!」

呼ばれた方に振り返ると、クラスメイトの女子たちが集まっていた。

懐かしい顔ぶれに自然と声も上がる。

「めっちゃ久しぶりじゃん!元気だった?」

「元気元気!」

「A皆勤賞もらってたもんね(笑)」

なんだろう恥ずかしいなちょっと。

「たしかにいっつも元気だったもんね〜。」

「うん、常に笑ってたよね(笑)悩みなさそーな顔してさ!」

あ、なんかやばいかも。

「ほらほら、もっと飲みな!」

「え、あ、ありがとう!」

飲みすぎるなっていう彼の言葉が頭をよぎったけど、勢いに押されて断れない。

「ちゃんと仕事してんの〜?」

「失礼な!ちゃんとしてますー!」

こうやって交わしてきた日々が懐かしい。

悩んでないわけないじゃん。

何も考えてないわけないじゃん。

これが広く浅くのデメリットなんだろうな。

大好きなメンバーなのに、たまにすっごく心が苦しくなる時がある。

一度だけ百合の前で泣いちゃったことがあるけど。

その時も案の定百合はびっくりしてた。

「A〜、あっちで呼んでるよ!」

心の中で噂をすれば、ほんとにやってきた百合にびっくり。


「大丈夫?」

気づいてくれたみたい。

「うん、ありがとね。」

そのあとも百合とテーブルを回りながらお酒を飲み続けて、

終わる頃には2人ともフラフラになっていた。

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作者名:ちーず | 作成日時:2019年11月21日 21時

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