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Aside




あの日のことがあるから、なんとなく同窓会というワードを使いたくなかった。

「Aちゃん。」

「ん?」

「今日何の日かわかる?」

「え!?」

同窓会のことを無事伝え終わって、完全に油断していた。

今日、、2月14日、、バレンタイン?

でもそんなことわざわざ聞く?



もしかして、、、

「二階堂くん、誕生日?」

「違う。俺8月。」

「え!あ、でも夏っぽいかも(笑)」

「どう言う意味だよ、ってそうじゃなくて。」

ツッコまれた、、

「んー、、、バレンタインしか思いつかない。」

「うん、それ。」

「え?」

「今日バレンタインだよ、Aちゃん。」

いつもとは違う、いたずらっ子のような笑顔。

、、かわいい。

「バレンタインだよって、、、」

そんなことを普通に言えちゃう彼が不思議。

私が意識しすぎなんだろうけど、、

何も用意してないしな、と思って少し俯くと、ちょうどチョコのようなものが目に入った。

私もこんなことを考えられるくらいには、耐性がついてきたのかも。


「ふふ、はい、チョコ。」


私の腕にいたチョコを、彼に渡す。

ふざけてみたけど、彼には通じなかったみたいで、チョコを撫でながら拗ねた顔をされた。

最近よく彼のこの顔を見てる気がする。

いつも転がされてる分、少し勝ったような気になるのは私の性格が悪いのだろうか。


「、、別に、本命が欲しいって言ってるわけじゃないんだよ?」

「あ、当たり前でしょ!!?」

な、何をそんな真剣な顔してっ、、

そんなことを言った当の本人は、驚いた顔を見せている。

「Aちゃん、、彼氏いるの?」

「はぁ!?」

今の流れのどこでそんな推測ができたんだろう。

1か月経っても、彼の思考回路はさっぱり分からない。



「いるの?」

「いないよ。」

「、、そっか。」

そう言った彼の表情が、読めない。

嬉しい?バカにした?、、興味ない?

考えれば考えるほど、こわい。

「じ、じゃあ行くから!」

逃げようと立ち上がると、隣の彼も急いで立ち上がって簡単に手首を掴まれてしまった。

「待って!」

振り返って見上げると、いつものように優しく笑う彼がいた。

「同窓会、楽しんでほしいけど、絶対お酒飲みすぎないでね。」

「、、分かってる。」

「うん、いってらっしゃい。」


彼に触れられた頭が熱い。

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作者名:ちーず | 作成日時:2019年11月21日 21時

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