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Aside
「同窓会?」
『あれ?手紙届いてなかった?』
「あー、来てたかも。」
『それさ、一緒に行かない?』
「それ、いつなの?」
『えーっとね、再来週の土曜日かな。』
「再来週、、うん、空いてる。行こう!」
『やった!じゃあまた連絡するね!!』
慌ただしく切れた電話は、高校時代の親友、百合(ユリ)から。
こんな手紙、いつ来てたんだろう。
百合が連絡くれなかったら、絶対忘れてたな。
「再来週の土曜日ってことは、14日か。」
誰が来るんだろう。
昔から、友達関係は広く浅くタイプだったから、顔は広い方だと自負している。
別に、広く浅くは悪い意味じゃない。
私は誰のことも好きじゃない、とか、誰も信用できない、とかそんな暗いタイプではない。
ただ、楽だから。
平和を望む私にとって、誰かに固執したり、反抗することが苦手だっただけ。
だから、高校の同窓会は結構楽しみだったりする。
「同窓会?」
「うん、高校のね。楽しみだな〜。」
「変なやつに捕まらないでね?」
チョコと向き合いながらそんなことを言う彼は、何を考えてるんだろう。
ただ、やっぱり心配性だなって思う。
「同級生に変な人なんていないよ(笑)」
私が笑うと、拗ねたような顔が向けられた。
「そんなの分かんないじゃん。誰がどんなオオカミになってんのか。それに、お酒だって飲むでしょ?」
「っ、、そうだけど、、」
なんでそんなに悲しそうな目で見るの?
彼の表情に、心臓がキュッてなって、慌てて目をそらす。
「ごめん。困らせるつもりじゃなかったんだけど、、、楽しんで来てね。」
私の頭を撫でる彼の手は、いつもより少し乱暴だった。
「あ、おはよ。」
「お、おはよう。」
掠れた声で、ふわっと笑ういつもの彼。
そんな彼にいつものように笑って返せない私。
あの日から、私はおかしくなった気がする。
正確に言うと私の心臓が。
彼を見るたびにドクドクと音を立てるようになってしまった。
前はほっこりしていた彼の笑顔にだって、今はドキドキする。
私が素でいられるのは、、、、チョコに対してだけだ。
「おはよう、チョコ。」
彼の視線から逃れるためにチョコをぎゅっと抱きしめるけど、一応言わなきゃ。
「今日、夜来れないかもしれない。」
「え、なんで?、、ああそっか。」
よかった、気づいてくれたみたい。
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作者名:ちーず | 作成日時:2019年11月21日 21時