我慢の始まり ページ26
2 side
服だって、女の化粧品とかだって１つも持ってないのに。
無理矢理すぎたか。
なんでこいつといると歯止めが効かなくなるんだろう。
でも、気づくと俺の目の前にカメラを向けるAがいて、
そのせいで起きたのに全然嫌な気なんてしなくて。
むしろ目が覚めたとき、俺の腕の中にAがいたことがたまらなく幸せだった。
正直、昨日俺の服着たAを見たときはほんとにヤバかった。
2「じゃあ、行くわ。適当にゆっくりしてって。」
あ「うん。頑張ってね。」
俺が出て行くとき、Aは必ず口をギュっと結んで少し眉が下がる。
まじで子犬かよって思うけど、この顔が好きだったりする。
でも昨日初めて反対の立場になってみて、やっとAの気持ちが分かった気がする。
出て行くのと見送るのじゃ、全然気分が違う。
俺なんて昨日の1回でさえ我慢出来なかったのに、Aはどんだけ寂しい思いしてたんだろう。
って、さすがに自惚れすぎか、、
2「これ。」
あ「これって、、、合鍵？」
2「まぁ、うん。」
急に泊まることになったから、合鍵作る暇なんてなくて、俺のスペアだけど、、
そんなに笑顔になられちゃ、恥ずかしいんだけど。
2「いつでも来ていいから。」
あ「ほんとに！？」
2「うん。」
あ「ほんとにいっぱい来るよ？」
2「うん。」
何をそんなに心配してんの。
鍵をギュっと握りしめて笑顔で俺を見るAの頭を撫でてドアノブに手を掛けた。
そのとき、後ろから華奢な腕が伸びてきて、俺の腰に巻きついた。
珍しい行動に少し、ほんの少しドキッとしたのは絶対に言ってやらないけど。
2「どした？」
あ「あと10秒ください。」
最近こいつが敬語に戻るのは、照れているとき。
2「寂しい？」
あ「当たり前じゃないですか！！」
、、キレられた。
あ「よし、もう大丈夫。行ってらっしゃい！」
回してた手で俺の背中をトンと叩く。
なんかそれが、Aに背中を押されてるみたいで、気合いが入るっていうか、よし！って気持ちになれた。
もう一度振り返り、行ってきますとだけ残して部屋を出た。
会いたいとか、声が聞きたいとか、
寂しい思いさせたくないとか、
俺がそんな感情を持ってることが自分でもほんとに信じられないし、若干引いてるけど、
それが楽しくもある。
だけど、案の定それから3週間会うことは出来なかった。
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作者名：ちーず | 作成日時：2018年3月6日 13時
