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審神者さま ページ4
答えない担当。
その手を離そうとしない鶴丸。
もっと長く続くかと思われたその押し問答は、ある存在によって呆気なく終わりを迎えた。
「審神者さまぁぁぁ！！！」
いつの日かのごとく、ぽん、と煙と共に現れたこんのすけの顔には、酷く焦りが滲んでいた。
「こんのすけ、」
諌めるような担当の声。
しかしそれを気にする余裕もないのか、こんのすけは早口で話し出す。
「審神者さま、政府が、審神者さまの要求を呑むことは出来ないと…っ。このこんのすけ、必死にお願い申し上げたのですが…！！」
ぽたりと、人工的に作られたこんのすけの瞳から、味のしない涙が溢れた。
それは畳に染み込み、より深い色に染めていく。
「…こんのすけ、」
もう一度、困ったように担当が名を呼んだ。
「審神者、さま…あ、」
そこでやっとこんのすけは己の過ちに気が付いた。
「もう私は審神者ではないでしょう？」
「もっ、申し訳ございません、担当さま。」
担当の表情はいたって落ち着いていて、怒りの感情は読み取れない。
しかし、瞳は悲しげに揺らいでいた。
それが、こんのすけの胸をひどく痛ませた。
「では、鶴丸さま。…私はお暇させていただきます。」
そそくさと退散していく担当の背に、なんの言葉も投げかけられずに、鶴丸は少しだけ呆けていた。
「こんのすけなぁ…。うちにも、前はいたんだが。」
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作者名：伊織（神様卒業） | 作成日時：2018年5月3日 23時
