鏡花水月２ (ページ16)

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ふわっと香るシャンプーの匂いで

いつも顕嵐が座っていた場所に来た人物が誰かを理解するのに時間はかからない

「久しぶり、かな？お疲れ様」

「おつかれさまです…」

「坂下さんぜんぜん来てくれないんだもん。テスト直前確認とかするかなって俺待ってたのに～」

ニコニコしながら言う先生は余りにも意地悪だ

「ここで何してるの？」

「顕嵐待ってるんです、社会だけ選択違くて」

「へ～じゃあ俺も待ってようかな」

もちろん冗談で言ったんだろうけど、すごく居心地が悪い。きっと意識し過ぎてる。わたしだけ。

ここで待つのをやめよう

バックを持って立ち上がると、先生は

「はいストップー！」と子供みたいに言った

「え、なんですか？」

「あ、いや、スカート短くね？」

笑いながら言う先生が少し可愛くて、ふざけてもうひとつ捲って見せた

「馬鹿それはマジで変質者ホイホイだから」

あれ、萩ちゃんの情報と違う

「…だって萩ちゃんが美勇人はスカート短いのが好きって、言ってたのに。」

萩ちゃんは面談の時も、さっきも私にアドバイスをくれた。

" 美勇人落としたいならスカートは短く"

それが教師の言うことかな、とは思ったけど
アドバイスは有難く従う事にしたのに。

目を真ん丸にした先生に腕を掴まれ、さっきまで座っていたベンチにまた座らされた

「え、俺の為に短くしてんの？」

そう聞かれると恥ずかしくて素直に首を振れない

「そりゃ、短いのは好きだけど、そのせいで坂下さんが変質者に襲われるの、俺は嫌だからもうちょっと長くしてよ」

どうせまた教師として、とかそんな気持ちで言ってるのは分かってるのにどうしようもない程嬉しくなるし勘違いしそうになる

言われた通りスカートを戻した私に

「じゃ、気を付けて帰ってね」

とだけ言った先生を残して教室に向かう。そろそろ顕嵐のテストも終わる頃。

久しぶりに顔を合わせると、やっぱり好きなんだなと自分の事ながら思ってしまう。

声とか、表情とかも好きだし、仕草も好き
匂いも服装もスタイルも、多分全部好き

どうやって先生への気持ちを殺して
顕嵐を好きになればいいんだろう。

言われて下ろしたスカートをまた捲った

久しぶりのシャンプーの匂いを思い出しながら顕嵐のいる場所へ向かった

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