その少女、皮肉 ページ30
「……ついたよ!ここが、僕の住むイグニハイド寮!」
オルトくんがそう言って腕を広げる。……可愛いな。
道中、オルトくんとはいくつか話をして。私が今、学園の注目の的だということも聞いた。
それと、ほとんどの生徒が私をよく思っていないということも。
マジカメや掲示板などでの私への誹謗中傷は凄いんだって。
『……失礼します』
私は呟きながらオルトくんの後に続く。
イグニハイド寮は、どこか近未来的なデザインで少しわくわくした。
オルトくんは寮の中をすいすいと動き、一つの扉の前で止まる。
「兄さん、お客さんだよー!」
「オルト、今度はどこに行ってたの。全く……って、え?今お客さんって言った?」
こんこんとノックする音。それと、中で何かがガサガサと動く音。
数秒して扉が開くと、中から青髪の男の人が顔を覗かせた。
人見知りのような動きで男の人はきょろきょろと辺りを見渡し、オルトくんの後ろにいた私を見て「ひっ」と声を上げた。
それから、扉の影に隠れた男の人は私をじっと見て声を上げた。
「……って、誰かと思えば今炎上中のグレイさんじゃないですか」
『……えん、じょう?』
「うわ、ネット用語……って言うか皮肉通じないの。……注目を浴びてるってこと」
男の人はため息を溢して、扉の影から出てくる。
青く燃えた髪が揺らめいて、綺麗だと思った。
「……とりあえず入れば。誰かに見られたら面倒だから」
『……失礼します』
そう言って男の人が大きく扉を開ける。
頭を下げて中に入ると、床に散らばったたくさんの入れ物が目に入った。色とりどりの絵が描いてある。……これは何なんだろう。気になって手を伸ばす。
首を傾げながらそれをまじまじと見つめていると、男の人が大声を出した。
「ちょ、それは触らないで!」
『!……ごめ、なさい。……その、初めて見たから、気になって……』
いきなりの大声に、心臓が飛び跳ねる。
きゅっと目を瞑ってそう言うと、男の人が戸惑った声を上げた。
「……初めて?それ、割とどこの家にもあるゲームだけど。……見たことない?ゲーム屋とかでも?」
信じられない、と呟く男の人。
……だって、ゲームなんてしたことがない。家にはあったかもしれないけど、私は見たこともなかったし。
教えてくれる友達も、いなかったから。
2405人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
推しが尊い - 先生まじで優しすぎて泣く。好感度がバク上がりした (4時間前) (レス) @page46 id: 653187292b (このIDを非表示/違反報告)
Akal(プロフ) - まだ途中までしか読んでないけど…マジで夢主ちゃんとキャラ達和解してほしい…!義家族許せないわ、これは。夢主ちゃん大体悪くないのに… (2023年3月29日 16時) (レス) @page25 id: 5bb5794148 (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - 何度も読み返したくなり戻って来ました!何度読んでも涙が出てきて…これ程までハマった作品は初めてです!完結おめでとうございます! (2022年11月2日 7時) (レス) @page1 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
ロナ - イラつきます。 (2021年10月30日 13時) (レス) @page37 id: db59ef0184 (このIDを非表示/違反報告)
こうめ - えっ、小説で初めてガチ泣きしたんだが?!!好きです!! (2021年4月14日 0時) (レス) id: cfffb34543 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2020年9月18日 16時