36.side彩 ページ37
彩「ねぇ、上杉君？あの時の『ヤベェ』って何だったの？」
私はあの時のことを鮮明に覚えてる。もし教えてくれるなら、知りたかった。
上「ああ、･･･んなこと言ったっけ？」
彩「うん、言ってたよ？神社の階段で。」
私が細かく教えると、ああ、と思い出したようだった。そして私から目をそらすと、
上「こっちの話だから。」
そう言ってそっぽを向いてしまった。
しばらく公園内を歩いた後私達は、公園から出ようと思った。
で、上杉君に声をかけたんだ。そしたら、私のことを見ていた上杉君と目があった。
その時、上杉君が、何か言いたげにもごもごとし始めた。
戸惑っているようで、いつもの上杉君からは思い浮かばないような、
迷子の子供みたいな顔で私をみてきた。恐る恐る聞いてみる。
彩「上杉君、どうしたの？何かいいたいことでもあるの？
あ、もしかして、トイレ？行ってきていいよ、待ってるから。
それとも、もう少しここにいたいの？」
私の言葉を聞いて、一瞬きょとんとした後、切れ上がった涼しげな瞳に悲しげな陰を浮かばせた。
表情が少し強ばったのがわかる。私の鼓動が早くなり、ドクドクとうるさくなる。
そんな目で見ないで。あなたは今、なにをいおうとしているの？
上杉君、といいかけたところで、それを遮るように上杉君が言った。
上「俺、立花が好きだ。お前に会うだけで鼓動が早くなる。
道ばたに咲いた花を見かけると、おまえの顔が頭に浮かぶ。
お前に元気がないって聞くと、すげー心配になって。
もう、我慢できない。」
上杉君の言葉に唖然とする私。しばらく、言葉が出てこなかった。
それでも上杉君は続けた。
上「この気持ちに気づいたのは幼少期の自分を思い出したとき。
そのときはまだ協定があったから、告れるわけもなく。
協定がなくなったと思えば、立花には好きな人がいるという。
･･･それが俺だったら、どんだけいいだろうって思った。
でも、俺じゃないってわかってたから。あきらめるつもりだった。
だけどダメだ。気持ちだけでも伝えたい。だから、今言った。」
彩「え･･･そんな･･･ホントに？」
上「ああ、本当。でも、忘れて。お前はお前の好きな奴と･･･」
彩「私はっ、私が好きな人は･･･上杉君、だよ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彩芽 | 作成日時：2016年12月16日 7時
